ハウス周辺におけるコナジラミ類の飛翔と気温
- [要約]
- 冬春トマト栽培ハウス周辺におけるコナジラミ類のトラップへの誘殺数は気温の低下とともに減少する。日平均気温が摂氏10度以下、日最高気温が摂氏15度以下または日最低気温が摂氏5度以下になると、ハウス周辺におけるコナジラミ類の飛翔は抑制され、ハウス内への侵入は激減する。
- [キーワード]
- コナジラミ類、飛翔、ハウス周辺、気温、冬春トマト
- [担当]
- 熊本農研セ・生環研・病害虫研究室
[連絡先]電話096-248-6490
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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トマト黄化葉巻病の発生防止にあたっては、栽培初期にトマト黄化葉巻ウイルスの媒介虫シルバーリーフコナジラミのハウス内侵入を防ぐことが最も重要である。そのためには、媒介虫のハウス内への侵入時期を明らかにする必要がある。そこで、トマト黄化葉巻病が発生している冬春トマト栽培地域において、ハウス周辺での黄色粘着トラップへのコナジラミ類の誘殺数を調査し、コナジラミ類の飛翔と気温との関係について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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冬春トマト栽培ハウス周辺におけるコナジラミ類のトラップへの誘殺数は、気温の低下とともに減少する(図1)。
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トラップ設置期間中の日平均気温、日最高気温、日最低気温の平均値がそれぞれ摂氏10度、摂氏15度、摂氏5度以下になると、コナジラミ類の誘殺数はほぼ0になる(図2)。
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以上のことから、コナジラミ類は前述の気温を下回る時期になるとハウス周辺での飛翔が抑制され、ハウス内への侵入はほとんどない。
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[成果の活用面・留意点]
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平坦地の冬春トマト栽培地域で10月〜12月に調査した結果である。
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黄色粘着トラップ(片面平板、10cm×10cm)は、ハウス4辺の外側に各1枚、ハウスから50cm離れた高さ100cmの位置に粘着面を外側に向けて設置した。
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粘着トラップを用いた調査のため、種の同定は行っていないが、調査期間中にトマト栽培ハウス内および野外の雑草地で確認されたコナジラミ類の大部分はシルバーリーフコナジラミであった。
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前述の気温は、ハウス内へのシルバーリーフコナジラミの侵入停止を判断する目安となる。
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[具体的データ]
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図1 冬春トマト栽培ハウス周辺におけるコナジラミ類の誘殺数と平均気温との関係

図2 コナジラミ類の誘殺数と気温との関係(全地点、全年次)
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[その他]
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研究課題名:トマト黄化葉巻病の病原ウイルス及び媒介虫シルバーリーフコナジラミの生態解明に基づく環境保全型防除技術の確立
予算区分 :国庫(地域新技術)
研究期間 :2001〜2003年度
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