施設メロンにおけるワタヘリクロノメイガおよびオオタバコガに対する防虫ネットの侵入防止効果
- [要約]
- ハウス開口部に目合い4mmの防虫ネットを被覆することで、ハウス内へのワタヘリクロノメイガおよびオオタバコガの侵入を防止できる。防虫ネットを被覆したハウス内の晴天日の最高気温は、被覆しないハウスに比べて摂氏1.5〜2.0度上昇するが、日平均温度および日最低湿度の差は小さい。
- [キーワード]
- ワタヘリクロノメイガ、オオタバコガ、防虫ネット、物理的防除、温度、湿度
- [担当]
- 熊本農研セ・生産研・病害虫研究室、九沖農研セ・野菜部・上席
[連絡先]096-248-6490
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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近年、秋冬作メロンでワタヘリクロノメイガおよびオオタバコガを主体とするチョウ目害虫の発生が増加している。両種は、欠株や生育遅延、商品果率低下の原因となる重要害虫である。また、8月から11月まで発生し、野外からハウス内に侵入するため、多数回の防除が必要である。オオタバコガについては侵入防止に有効な防虫ネットの目合いが明らかにされているが、ワタヘリクロノメイガについての報告例はない。また、両種が混在するメロンハウスにおける侵入防止効果の報告例もない。そこで、ワタヘリクロノメイガの侵入防止に有効な防虫ネットの目合いを明らかにし、両種が発生する現地農家の連棟ハウスにおいてネット被害防止効果およびネット被覆がハウス内の温湿度に与える影響を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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ワタヘリクロノメイガのネット通過を完全に防止するためには目合い2mmが必要であるが、目合い4mmの防虫ネットでも80%以上の個体の通過を妨げることができる(表1)。
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防虫ネットは連棟ハウスの上部、すなわち棟と棟の間に直線的に展張し、側面をマイカー線で前面と側面をビニペットですき間が生じないように固定する(図1)。
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側面開口部に目合い1mmの防虫ネットを設置した連棟ハウスに目合い4mmの防虫ネットを展張することで、ワタヘリクロノメイガおよびオオタバコガの侵入をほぼ完全に防止できる(図2)。
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目合い4mmのネットを展張したハウスの温湿度を隣接した同規模の未展張ハウスと比較した場合、被覆期間中の温湿度の差は日平均気温で摂氏1度未満、日平均湿度で1%RH未満と小さいが、晴天日の最高温度は摂氏1.5〜2.0度上昇する(図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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苗に寄生してハウス内に持ち込まれるチョウ目幼虫を対象とした防除を、定植1〜2週間後に行う。
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ワタヘリクロノメイガ、オオタバコガの他、ハスモンヨトウに対する侵入防止効果も期待できる。
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ワタヘリクロノメイガの被害が問題となる同規模のキュウリ、スイカなどのウリ科野菜連棟ハウスにも応用できる。
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[具体的データ]
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表1 ワタヘリクロノメイガに対する各種防虫ネットの通過抑制効果

図1 処理区におけるネットの被覆方法

図2 農家圃場におけるワタヘリクロノメイガおよびオオタバコガ卵、幼虫の発生推移

図3 処理区と無処理区(防虫ネット未展張ハウス)の日平均気温、日最高気温および日平均湿度の温湿度差
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[その他]
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研究課題名:環境負荷低減のための病害虫高度管理技術の開発
予算区分 :国庫委託
研究期間 :2000〜2003年度
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