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マメハモグリバエと寄生蜂を選別できる防虫ネットの網目サイズ


[要約]
マメハモグリバエの侵入を防ぎ、Chrysocharis pentheusNeochrysocharis okazakii等の寄生蜂の通過に影響の少ない防虫ネットの網目は0.6〜0.63mmである。

[キーワード]
マメハモグリバエ、寄生蜂、防虫ネット、網目

[担当]
鹿児島県農業試験場・病虫部

[連絡先]電話099-268-3231	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
春季にエンドウのナモグリバエで発生する寄生蜂は、その一部がマメハモグリバエの天敵相と共通することが知られており(Kamijyo,1979)、トマトなどのハモグリバエ類防除に利用することが検討されている(嶽崎,2001;山口・嶽崎,2004)。寄生蜂の寄生がみられるエンドウ葉をハウス内に導入するにあたり、寄生蜂のみを選択的に放飼する必要がある。そこで、マメハモグリバエは通過できず、寄生蜂に影響の少ない網目サイズを検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. マメハモグリバエにおいて、雄成虫では0.63mm目以下、雌成虫では0.67mm目以下の防虫ネットを通過できる個体は認められない(表1)。

  2. エンドウのナモグリバエから羽化したChrysocharis pentheusDiglyphus isaeaは95%以上の個体が、Chrysocharis pubicornisは90%以上の個体が0.5mm以上の防虫ネットを通過できる。また、Neochrysocharis formosaは0.5mm以上の防虫ネットをすべての個体が通過することができる(表2)。

  3. Neochrysocharis okazakiiは0.75mm目の防虫ネットを通過できる。また、0.6mm目でも、雌成虫で85%以上、雄成虫ではすべての個体が通過できる(表3)。

  4. マメハモグリバエが通過できず、N.okazakiiC.pentheusD.isaea、C.pubicornisN.formosa等の寄生蜂の脱出に影響が少ないネットの網目サイズは、0.6〜0.63mm目程度である。

[成果の活用面・留意点]
  1. エンドウのナモグリバエに寄生する寄生蜂を利用する場合、マメハモグリバエを遮断し、寄生蜂のみをハウス内に放飼するためのエンドウ葉を保管する容器等の開発に活用できる。

[具体的データ]

表1 マメハモグリバエのサイズの異なる防虫ネットでの通過率


表2 C.pentheusD.isaea、C.pubicornisN.formosaのサイズの異なる防虫ネットでの通過率


表3 N.okazakiiのサイズの異なる防虫ネットでの通過率

[その他]
研究課題名:施設野菜病害虫の環境保全型総合管理技術の開発
      施設ピーマン、ナス、トマト病害虫の生物的防除体系の確立
予算区分 :助成事業(新技術地域実用化研究促進事業)、県単事業
研究期間 :1999〜2006年度

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