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ブドウ晩腐病菌(Colletotrichum acutatum)の選択培地


[要約]
ストレプトマイシン硫酸塩200mg、イミノクタジン酢酸塩10ppm及び100ppm加用ジャガイモ煎汁寒天培地によりColletotrichum acutatumを選択的に分離できた。この培地による雨水からの検出は雑菌を抑制し、ブドウ晩腐病菌(C.acutatum)の分生子を効率的に検出できる。

[キーワード]
ブドウ、ブドウ晩腐病、Colletotrichum acutatum、選択培地

[担当]
福岡農総試・病害虫部・病害チーム

[連絡先]電話092-924-2938	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]科学・普及	

[背景・ねらい]
ブドウ晩腐病の感染源となる樹上病斑からの分生子の溢出消長を明らかにすることは本病の発生生態の解明や効率的な防除を行うために重要である。本菌の分生子は長楕円形、無色、単胞で形態的な特徴が少なく、顕微鏡観察では本菌の特定が困難である。そこで、本菌の選択培地を作製し、調査精度が高く、熟練を必要としない調査方法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. ストレプトマイシン硫酸塩含有ジャガイモ煎汁寒天培地(ストレプトマイシン硫酸塩200mg、ジャガイモ200gの煮汁、寒天粉末18g/1L)にイミノクタジン酢酸塩を有効成分で100ppmと10ppmを含む培地上で、Colletotrichum acutatumの分生子を培養すると、無添加と異なる特徴的なコロニー形態が見られる(表1図1)。

  2. 本選択培地により雨水中から検出できる胞子数は、光学顕微鏡観察による検出数と同等以上で検出精度が高い。このため、本選択培地は胞子溢出調査に実用的に使用できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. Colletotrichum acutatumの分生子の飛散調査が容易になる。

  2. ブドウ晩腐病に関与する菌は2種存在し、もう1種の菌であるColletotrichum gloeosporioidesでは利用できない。

[具体的データ]

表1 各検定培地におけるブドウ晩腐病菌(C.acutatum)の菌糸の生育と胞子塊形成


図1 各種薬剤添加培地上におけるC.acutatum胞子懸濁液の培養5日後の菌叢の形態


表2 選択培地上のコロニー数と光学顕微鏡下で観察された雨水中の分生子数の比較

[その他]
研究課題名:ブドウ晩腐病の多発要因の解明と防除法の確立
予算区分 :経常
研究期間 :2003年度(2001〜2005年度)


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