小ネギの施設栽培での硝酸態窒素の動態と施肥改善
- [要約]
- 生育前半の多量かん水が、前作の残存または施肥窒素を小ネギに利用されにくくしている。施肥改善として、油粕(窒素成分7.5kg/10a)をベースに被覆尿素40日タイプ(窒素成分7.5kg/10a)の施肥位置を全層または浅層施肥とすることで、慣行施肥量並の収量が得られ、土壌への硝酸態窒素の集積を低く抑えることができる。
- [キーワード]
- 施設栽培、小ネギ、硝酸態窒素、被覆尿素
- [担当]
- 大分農技セ・化学部
[連絡先]電話0978-37-1141
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
小ネギの施設栽培では、慣行の栽培技術として高温期を中心に発芽等の生育を安定させるため、播種直後から生育中期にかけて多量のかん水が行われており、そのことが施肥窒素等の利用率を低下させ、土壌深層への硝酸態窒素の集積を引き起こしているものと推察される。そこで、現地の追跡調査及び施肥改善法について明らかにする。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
高温期の栽培期間中のかん水は、播種後からの20日間に集中しており、200mm(10mm/日)程度行われている。そのかん水に伴う土壌中の硝酸態窒素濃度は、かん水量の多い生育初期から中期にかけて低く推移し、水切りを行う後半では高めに推移する(図1)。
-
前作の残存窒素の次作への利用率は、残存した層位に関係なく著しく低く、次作にはほとんど利用されない(表1)。
-
施肥改善試験の小ネギの収量は、減肥した施肥改善区の全層及び浅層施肥が各作を通じて高い。(表2)。
-
土壌中硝酸態窒素量(0〜40cm)は、施肥改善区で現地慣行より低く推移し、20〜25kg/10a程度まで増加する。なお、現地慣行では硝酸態窒素量が徐々に増加する傾向が認められる(表3)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
リン酸、カリについては、土壌診断に基づき適正施肥を行う。
-
[具体的データ]
-

図1 かん水による層位別の硝酸態窒素濃度の推移

表1 前作残存窒素の利用率

表2 施肥改善試験の小ネギの収量

表3 施肥改善試験の深さ0〜40cmの土壌中硝酸態窒素量
-
[その他]
-
研究課題名:小ネギ等軟弱野菜類の高品質安定生産と環境負荷低減のための肥培管理技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2004年度
目次へ戻る