二酸化炭素発生量による家畜ふん堆肥の腐熟度判定
- [要約]
- 家畜ふん堆肥と土壌を混和した時に発生する二酸化炭素量から、堆肥の腐熟程度を判定できる。この二酸化炭素発生量は家畜ふん堆肥中の易分解性有機物量を推定していると考えられ、家畜ふん堆肥の農耕地施用の可否判定が可能となる。
- [キーワード]
- 家畜ふん堆肥、二酸化炭素、易分解性有機物、腐熟程度、ガス検知管
- [担当]
- 鹿児島農試・土壌肥料部
[連絡先]電話099-268-3234
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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現在、様々な家畜ふん堆肥が流通しているが、中には堆肥化が不十分なものも存在する。一次発酵の堆積過程では、易分解性有機物が分解されるが、これが多量に存在すると、ほ場に施用された際に、急激な分解を起こし、作物に被害を及ぼす。
そこで、堆肥化物の二酸化炭素発生量を測定することによって、堆肥中の易分解性有機物量の多少を推定し、熟度を簡易に判定する方法を開発する。
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[成果の内容・特徴]
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二酸化炭素発生量の測定はガス検知管を用いた簡易な装置を開発した(図1)。
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畜種別に堆積した家畜ふんからの二酸化炭素発生量を経時的に測定した結果、堆積日数に伴い減少傾向で、牛ふんの約50日以降、豚ぷんおよび鶏ふんの150日以降の発生量は同程度で、それ以上の減少はみられない(図2)。
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堆積期間における二酸化炭素発生量および堆積物の品温が切り返しを行っても大きく再上昇しなくなる時期はいずれの畜種においても同様である(図2)。このため、本装置での二酸化炭素発生量は堆肥中の易分解性有機物量を推定していると考える。
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堆積過程での二酸化炭素発生量は畜種によって異なるため、腐熟程度を評価するには、堆肥の原材料を考慮し、堆肥化がほとんど進んでいないものを未熟、堆肥化がそれ以上進まないもの(二酸化炭素の発生量が安定した状態)を完熟、途中過程を中熟として畜種別の基準を設定する(表1)。
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鹿児島県堆肥コンクール(鹿児島県良質堆肥協議会主催)における総合評価(化学分析、形状、臭気など)と二酸化炭素発生量による評価は概ね一致する(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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ガス検知管は二酸化炭素測定用の2H(0〜10%)を使用する。
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[具体的データ]
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図1 二酸化炭素簡易測定法

図2 蓄種別に堆積した家畜ふん0.5gの96時間培養後の二酸化炭素発生量および品温の推移

表1 簡易測定法による腐熟度判定基準

表2 CO2発生量と観察評価および科学分析の関係
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[その他]
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研究課題名:ガス検知管を用いた家畜ふん堆肥の簡易腐熟度判定法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2004年度
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