露地ホウレンソウにおける窒素吸収パターン
- [要約]
- 露地ホウレンソウの窒素吸収量は、播種後の有効積算温度(基準温度摂氏2度)により推定でき、収穫期の有効積算温度(摂氏800〜900度)における窒素吸収量は、10〜12kg/10aである。有効積算温度摂氏250度までの窒素吸収量は、極めて少ない。
- [キーワード]
- ホウレンソウ、窒素、吸収量、有効積算温度
- [担当]
- 福岡農総試・土壌・環境部・施肥高度化チーム
[連絡先]電話092-924-2939
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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露地野菜の栽培では作物の窒素吸収特性が明らかにされていないため、総施肥量の半量以上を基肥として施用している。しかし、品目の多くは初期生育が緩慢であるため、施肥した窒素の多くが流亡している懸念がある。そこでここでは、露地ホウレンソウにおける窒素吸収量および窒素吸収パターンを明らかにし、効率的施肥を行うための資料とする。
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[成果の内容・特徴]
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露地栽培のホウレンソウの10a当たり窒素吸収量は、収穫期で11kg程度であり、収穫物1tを生産するのに必要な窒素吸収量は4.4kg程度である(表1)。
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露地栽培のホウレンソウでは、播種期により収穫までに要する生育日数が異なるため、生育日数に対する窒素吸収パターンは異なる(図1)。しかし、播種後の有効積算温度(基準温度摂氏2度、以下同じ)に対しては、播種期の違いにかかわらず、同様の窒素吸収パターンを示す(図2)。
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ホウレンソウの窒素吸収量は、有効積算温度摂氏400度で1.3kg/10a、摂氏600度で5.4kg/10a、摂氏800度で10.3kg/10a、摂氏900度で12.0kg/10aである(表2)。有効積算温度摂氏250度までの窒素吸収量は、初期生育が緩慢なため極めて少ない(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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福岡県野菜施肥基準に掲載し、効率的施肥技術の資料とする。
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品種「パンドラ」の秋播き栽培に適応できる。
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[具体的データ]
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表1 露地ホウレンソウの収量および窒素吸収量

図1 露地ホウレンソウの播種期と窒素吸収パターン

図2 露地ホウレンソウの積算温度からみた窒素吸収パターン
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[その他]
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研究課題名:窒素ゼロエミッション型農業技術の確立
予算区分 :国庫(土壌保全)
研究期間 :2001〜2005年度
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