Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成16年度目次

露地野菜栽培における亜酸化窒素ガスの発生要因


[要約]
キャベツ連作ほ場から発生する亜酸化窒素量は、化学肥料を20kgN/10a施用した場合が牛ふん堆肥を主体とする有機物を35kgN/10a施用した場合より3倍多く発生する。この他発生量に影響する要因は1.収穫残さすき込みと2.降雨である。

[キーワード]
露地野菜、亜酸化窒素、土壌耕耘

[担当]
熊本農研センター・生産環境研究所・土壌肥料研究室

[連絡先]電話096-248-6447	
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
農耕地から発生する亜酸化窒素等温室効果ガスの環境に及ぼす影響が指摘され、その発生動態の解明ならびに発生抑制技術の開発が強く求められている。

そこで、家畜ふん堆肥等有機物が連続して投入される露地野菜畑土壌において、硝酸態窒素の環境への負荷低減効果がみられた家畜ふん堆肥の異畜種併用および化学肥料、それぞれの施用が栽培期間中の亜酸化窒素の発生消長に及ぼす影響について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. キャベツ作付期間中の亜酸化窒素ガスの発生は、化学肥料の基肥(12kg/10a)および追肥(8kg/10a)施用直後に多く認められ、最大で4.3mg/m2/dayに達する。これに対して、家畜ふん堆肥を施用(35kgN/10a)した場合には大きな発生はみられない(図1)。

  2. 収穫後においては、キャベツ残さをすき込み、トラクターによる耕耘を行うと亜酸化窒素ガス発生量は1.3-4.0mg/m2/dayと多くなる(図1)。このガス発生量はキャベツ残さのすき込み量が多いほど増加する(図1表1)。

  3. 6月26日から7月3日の間に、累計で109mmの降雨がみられ、それにより亜酸化窒素ガスの発生量が0.1mg/m2/day(6月26日)から0.5mg/m2/day(7月3日)に増加する(図2)。

  4. 栽培開始(3月21日)から収穫後の無作付け期間(8月19日)まで計151日間の亜酸化窒素ガスの総発生量は、堆肥を施用した場合は化学肥料を施用した場合の34%と低い(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 畑土壌(厚層多腐植質黒ボク土)で行われる露地野菜栽培が技術の対象である。

  2. 亜酸化窒素ガスの採取方法は、それぞれの試験区毎にガス採取用チャンバー(60cm×60cm×40cm)を設置し(3反復)、0、10分経過後、内部の亜酸化窒素ガスを採取し、ECD付ガスクロマトグラフによって測定する。

[具体的データ]

図1 亜酸化窒素発生量の経時的変化


表1 キャベツ収量および外葉部重


図2 亜酸化窒素発生量と降水量の変化


図3 亜酸化窒素の総発生量(151日間)

[その他]
研究課題名:環境負荷低減農業技術確立実証事業
予算区分 :国庫委託
研究期間 :2002〜2006年度


目次へ戻る