Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成16年度目次

葉菜類に対する牛ふん炭化物のカリウム代替効果


[要約]
牛ふん炭化物の葉菜類に対するカリウムの施用効果は栽培時期によって変動があるものの、概して化学肥料の加里に匹敵するほど高く、化学肥料のカリウム代替物として有効である。その場合の炭化処理温度としては摂氏500度が適当である。

[キーワード]
牛ふん、炭化、カリウム、葉菜類

[担当]
熊本県農業研究センター・生産環境研究所・土壌肥料研究室

[連絡先]電話096-248-6447	
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
家畜ふん尿等有機性資源の処理法として炭化法が検討されているが、炭化物は従来の堆きゅう肥等とはかなり異なった肥効を示すことが予想される。そこで、牛ふん炭化処理物の肥効特性を明らかにし、その葉菜類に対する施用法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 牛ふん炭化物の成分組成は、処理温度摂氏250〜800度の範囲において、処理温度の上昇に伴い窒素含量は大きく減少するが、リン酸は増加しカリウムも摂氏600度まで増加する。カリウムの形態別成分量は、処理温度の上昇で水溶性のものが減少し、ク溶性カリウムは摂氏600度まで増加する(図1)。

  2. 牛ふん炭化物のカリウム代替率を100%として露地野菜に施用すると、秋冬キャベツでは炭化処理温度にあまり関係なく慣行施肥とほぼ同等の収量となり、摂氏500度以上ではL〜2L級品の割合が高い(図2)。

  3. 低温期に栽培される春冬レタスでは、炭化処理温度が低いと収量は低下するが、処理温度の上昇とともに増加し、摂氏800度で慣行施肥とほぼ同等の収量が得られる。また、生育期間の短いホウレンソウでは、処理温度に関係なく炭化物の施用で収量が増加する(図3)。

  4. 処理温度が高い炭化物では水溶性カリウム含量が低く施用量が多くなるため、跡地土壌の交換性カリウムはやや集積しやすい(図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 黒ボク畑で栽培される露地野菜が技術適用の対象である。

  2. 牛ふんは肉用牛のものを、T社製ロータリーキルン方式の機械により炭化した。

  3. 牛ふん炭化物は水溶性カリウムを代替率100%として施用した。

  4. 各露地野菜に対する施肥は県の施肥基準に応じて行い、窒素は尿素と被覆尿素を、リン酸は苦土重焼燐を用いた。(キャベツ=2.4:2.0:2.0、ホウレンソウ=2.0:2.0:1.8、レタス=2.0:2.0:2.0kg/a)

[具体的データ]

図1 処理温度が牛ふん炭化処理物の成分組成に及ぼす影響


図2 牛ふん炭化物のカリウム代替率を100%としたときの施用がキャベツの収量・品質に及ぼす影響


図3 牛ふん炭化物のカリウム代替率を100%としたときの施用が葉菜類の収量に及ぼす影響


図4 牛ふん炭化物のカリウム代替率を100%としたときの施用がキャベツの栽培跡地に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:有機性資源の炭化による新資材化技術の開発
予算区分 :委託
研究期間 :2002〜2004年度


目次へ戻る