イチゴ高設栽培における杉バーク培地の理化学性管理技術
- [要約]
- イチゴ高設栽培において杉バーク培地は連用による化学性の差は少ない。ECや硝酸態窒素濃度が高まるとpHが低下するが、石灰資材を施用することにより防げる。また、5〜6年間栽培に使用すると保水量が低下するが、パーライトを混和することで高まる。
- [キーワード]
- イチゴ高設栽培、杉バーク培地、連用、石灰施用
- [担当]
- 大分農技セ・化学部
[連絡先]電話0978-37-1141
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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イチゴ高設栽培やトマト隔離床栽培の培地として利用されている杉バークは、連用による養分集積等培地としての理化学性が明らかでない。そこで杉バークの特性を明らかにし、長期間安定して培地を使用できる肥培管理技術を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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県内9地区においてイチゴ高設栽培培地の理化学性、栽培管理を調査した結果、未使用と比較して養分集積がみられるが、杉バークは比重が軽いため容積あたりの量は少ない。また、培地連用年数による化学性の差はみられない(表1)。
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杉バーク培地のpHは交換性カルシウム・マグネシウム量が多いと高く、ECや硝酸態窒素量が高まると低下し、土壌と同様の傾向を示す(表2)。
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石灰資材を塩基飽和度が60〜100%になるように添加しても、栽培終了後の交換性カルシウム量はかなり減少する。石灰添加量が多いほど交換性カルシウム量も多い傾向がみられる(表3)。
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培地の物理性は、5〜6年連用した杉バークでは上・下層とも保水量が低下する。また、アンケート調査の結果、培地連用にともなう杉バークの追加や肥料散布の場合には培地を混和した方が保水量が高くなる傾向にある(データ略)。
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パーライトを混和した培地は上層で無機態窒素量が高い傾向がみられる(表1)。培地にパーライトを混和することで培地の浸潤性や保水性が高まることにより、かん水量が削減され、肥料成分の流亡が軽減されていると思われる(データ略)。
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[成果の活用面・留意点]
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イチゴ高設栽培の肥培管理の参考にする。
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今回調査を行った杉バークは採取時の水分状態が一定でなく、物理性を調査するときに水分状態を一定に保つために手を加えた。
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[具体的データ]
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表1 培地連用年数と培地の化学性

表2 pHの違いによる培地化学性の傾向

表3 石灰資材添加量の違いによる栽培終了後培地化学性

表4 培地連用年数と物理性
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[その他]
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研究課題名:隔離床栽培における杉バーク培地の維持管理方法と野菜類の安定生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2004年度
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