肥効調節型肥料によるスイートコーンの全量基肥栽培
- [要約]
- スイートコーンの栽培において肥効調節型肥料(被覆尿素肥料)は全量基肥で2割減肥しても農家慣行と同等以上の収量が得られ、全量基肥による労力の軽減化がはかれ、さらに大果が増え、収益が向上する。
- [キーワード]
- 肥効調節型肥料、全量基肥、減肥、労力の軽減化、収益向上
- [担当]
- 沖縄県農業試験場・化学部・土壌微生物肥料研究室
[連絡先]電話098-884-9909
[区分]九州沖縄農業・生産環境・土壌肥料
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
スイートコーンの産地である沖縄本島南部地域の島尻マージを主体とした土壌は透水性が高く施肥効率が低い。また、冬秋期のスイートコーンの栽培においては収量、品質の安定化が求められている。沖縄県内では肥効調節型肥料(被覆尿素肥料)がスイートコーンの栽培でほとんど利用されていないことから、肥効調節型肥料を用いて、高品質スイートコーンの生産、減肥による環境負荷低減及び省力化栽培体系を確立する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
被覆尿素区は2割減肥しても農家慣行区と同等以上の収量が得られる(表2)。
-
被覆尿素区はスイートコーンの果実の規格が3L、2LAの大果が多くなり、収益が向上する(図1、表2)。
-
70日タイプの被覆尿素は秋作栽培期間(約85日)及び冬作栽培期間(約110日)で約80%溶出する(図2)。
-
被覆尿素区の栽培跡土壌ではEC、水溶性硝酸態窒素濃度は農家慣行区と同等かより低くなる(表3)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
秋作、冬作のスイートコーン栽培に適用できる。
-
被覆尿素肥料はリニア70日タイプ、緩効率は50%である。
-
島尻マージ土壌(細粒質普通赤色土)、島尻マージクチャ客土土壌(軟岩型普通陸性未熟土/細粒質普通赤色土)に適用できる。
-
[具体的データ]
-

表1 試験区の構成

表2 スイートコーン収量、収益(3作平均)

図1 規格別収量割合、単価(3作平均)

図2 LP70窒素溶出率(埋設試験)

表3 スイートコーン栽培跡土壌の化学性
-
[その他]
-
研究課題名:スイートコーンに対する肥効調節型肥料施肥技術の確立
予算区分 :営農推進課事業(国庫補助1/2)
研究期間 :2001〜2003年度
目次へ戻る