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地理情報システムによって評価される熊本県農耕地土壌の有機物分解能


[要約]
地理情報システム(GIS)上でデジタル土壌図データと国土数値情報を結合し解析を行うことで、熊本県農耕地土壌における有機物分解能分級マップの作成が可能である。県下の有機物分解能は平坦部水田では低く、中山間黒ボク土地帯では比較的高い。

[キーワード]
地理情報システム、デジタル土壌図、有機物分解能

[担当]
熊本県農業研究センター・生産環境研究所・土壌肥料研究室

[連絡先]電話096-248-6447	
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)	
[分類]科学・普及	

[背景・ねらい]
農耕地の有機物分解能は農業が持つ環境保全機能の一つであり、農畜産業における有機物処理の問題と相まって関心が高まるとともにその評価が求められている。そこで、デジタル土壌図データや国土数値情報における気象および土地利用データを地理情報システム(GIS)上で結合および解析し、熊本県農耕地土壌における有機物分解能分級マップを作成することでその評価を行う。

[成果の内容・特徴]
  1. デジタル土壌図データおよび国土数値情報から必要な因子(年平均気温:T、年降水量:R、土性:ST、傾斜:S、土地利用:LU)を切り出し、これをGISソフト上で関連づけ、評点化および評価式「有機物分解能D=(T+R+ST)×S×LU」を用いることで熊本県農耕地土壌における有機物分解能分級マップの作成が可能である。(図1)。1/10細分メッシュを採用しており、地形図等と重ね合わせながら任意の縮尺で閲覧できる(図2図3)。メッシュごとの属性データの確認も可能である。

  2. 熊本県における有機物分解能は、分級IおよびIIがそれぞれ約2%、分級IIIが16%、IVが30%程度の分布である。玉名や八代地域の平坦部の有機物分解能はIV〜Vと低く、畜産の集中地帯である菊池地域等の中山間の黒ボク土地帯では分級IIIが多い(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 作成したデータは配布可能であり、MapInfo Ver.7の動作するパソコン上で閲覧できる。

  2. 環境保全に配慮した土壌管理指針策定および有機物利用推進のための資料となる。

[具体的データ]

図1 有機物分解分級マップの作成手順と評価


図2 有機物分解能分級マップ(菊池郡合志町付近)


図3 有機物分解能マップ(県北部)

[その他]
研究課題名:土壌機能実態モニタリング調査(デジタル土壌図を用いた主題図の作成)
予算区分 :助成試験(土壌保全対策事業)
研究期間 :2003年度


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