バレイショ畑における排水改善と表土処理による赤土流出防止対策
- [要約]
- バレイショ畑において暗渠排水や心土破砕等を行い、畦間にマルチングをするか表土を団粒化することにより赤土流出を大幅に低減することが可能である。
- [キーワード]
- 暗渠排水、心土破砕、マルチング、団粒化、赤土流出
- [担当]
- 沖縄県農業試験場・化学部・土壌保全研究室
[連絡先]電話098-884-9910
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]行政・参考
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[背景・ねらい]
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バレイショの指定産地である宜野座村では長雨や収穫前の降雨によるほ場の排水不良や連作障害による収量・品質の低下が生じ、作付面積が急激に減少し、産地指定の基準である20haが危ぶまれている。また、赤土流出の増加により環境への影響が大きな問題となっている。そのため、収量・品質の向上と赤土流出防止を兼ね備えた技術開発が望まれている。収量・品質を向上させ、かつ、内部排水の促進で、表面流去水を抑えることができ、赤土流出防止対策に大きく寄与する可能性のある暗渠による排水改善を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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暗渠と心土破砕とマルチングの組合せは赤土流出を約9割低減することができる(図2)。
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暗渠と心土破砕と団粒化土壌の組合せは赤土流出を約7割低減することができる(図2)。
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暗渠と心土破砕とほ場平坦の組合せでは表土流出がないので、図2に示してないが、暗渠を倍密とし、内部排水を強化したため、湿害回避と赤土流出「ゼロ」をめざすことが可能である(表1)。
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商品化収量や価格の高いサイズ(S〜2L)が最も多いのは土壌団粒化区である(表1)。
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総合評価が最も高いのは暗渠と心土破砕にマルチングまたは団粒化土壌の組み合わせた処理区である(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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暗渠の出口が確保できるほ場の構造が必要である。
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暗渠埋設深は心土破砕時に疎水材を通して連結可能な位置に設置する。
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本対策はハード対応と営農的対応を組み合わせた技術として活用できる。
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[具体的データ]
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図1 心土破砕と暗渠の関係

図2 対照区に対する流出土量割合(3年間平均)

表1 費用対効果を含めた総合評価
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[その他]
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研究課題名:団粒化した赤土等の活用による赤土等流出防止対策の実証調査
予算区分 :国庫受託
研究期間 :2001〜2003年度
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