[連絡先]電話096-242-7767 [区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料) [分類]行政・参考
三野(1994)および堀野ら(2001)により提案された「利水貯留量」、「地下貯留変化量」をダム上流域に適用し、ダムの水資源量の指標として提案する。「利水貯留量」は、降雨-流出現象を通して、ダム上流域がダム貯水池に水を安定的に供給するために潜在的に有する貯留量であり、「地下貯留変化量」は、日単位でダム上流域の地下に貯留(または放出)される量である。
1)「利水貯留量」:ダム管理データより、ダム上流域からダムへ供給される最小水量の時系列(図2のSQ)を描き、その曲線の原点を通る接線(図2のm)を描く。このとき、接線mの勾配は、ダムへ流入する最小流量(正の値)を表す。次に、ダム上流域における降雨量から蒸発散量を差し引いた量の時系列(図2のSRE)を描き、この曲線に最小流量と同じ勾配を持つ接線(図2のk)を描くとき、これが縦軸と交わる点と原点との距離が「利水貯留量」である(図1、図2)。「利水貯留量」は、降雨量から蒸発散量を差し引いた時系列が負である時期(無降雨時期)においても、最小流量が常に正である(ダムへの供給がある)ことのギャップを埋める容量に相当する。
2)「地下貯留変化量」:ダム管理データおよびアメダスデータより、(日降雨量R-日蒸発散量ET-ダム上流域からダムへ供給される日流量Q)を日ごとに計算する(図1)。

図2 利水貯留量の算定図
図3 各種流域貯留量の算定結果の時系列表示例

表1 九州のダム流域における利水貯留量の算定結果
研究課題名:農村流域における水資源貯留量の評価法の開発 課題ID:07-06-04-*-03-03 予算区分 :交付金 研究期間 :2001〜2003年度