ポリプロピレンとポリエチレンを貼り合わせた野菜の鮮度保持包装袋
- [要約]
- ポリプロピレンフィルム(PP)を表面にポリエチレンフィルム(PE)を裏面とし、そのPEの面積と厚さを変えることにより、ガス透過性を制御でき、鮮度保持効果を持つ包装袋とすることができる。青ネギに適用した場合、6日目まで鮮度を保持できる。
- [キーワード]
- 野菜、ガス透過性、包装袋、鮮度保持
- [担当]
- 福岡農総試・食品流通部・流通加工チーム
[連絡先]電話092-924-2930
[区分]九州沖縄農業・流通加工
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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農産物の鮮度を保持するために、適度なガス(空気)透過性を持つ包装資材で密封し、農産物の呼吸作用により包装袋内を低酸素・高二酸化炭素濃度状態にするMA包装が行われている。現在、透明性に優れ、見栄えの良いポリプロピレンフィルム(PP)がほとんどの農産物に使用されているが、ガス透過性が低すぎるために、農産物が高温下に放置されると無包装の場合よりも逆に鮮度低下を招く。
一方、ガス透過性が高いという特性を持つ安価なポリエチレンフィルム(PE)は、透明性が劣るという欠点がある。
そこで、これら2種類のフィルムを組み合わせることにより、両者の長所を取り入れた鮮度保持効果を持つ新しい包装袋を開発する。
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[成果の内容・特徴]
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裏面に用いるPEの面積と厚さを変えることにより、ガス透過性を制御できる包装袋に仕上げることができる(図1)。
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この包装袋は、PEの面積を増やすと酸素濃度を高め(図2)、PEの厚さを増すと酸素濃度を低くすることができる(図3)。
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PPを表面とし、透明性が劣るPEは裏面に使うことにより、現行と見栄えが変わらない包装袋にすることができる。
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青ネギにこの包装袋を用いた場合、現行の包装袋では4日目には商品性を失うが、厚さ0.025mmPPに50%面積の厚さ0.03mmPEを組み合わせたものを使用すると6日目まで鮮度を保持できる(図4)。
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[成果の活用面・留意点]
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事例に示した青ネギの他、ナバナ、ニラ等の鮮度保持用包装袋としても活用できる(データ略)。
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PPとPEは熱溶着性が高く、ヒートシーラーを用いた疑似溶着により貼り合わせることができる。
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[具体的データ]
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図1 PP(75%)とPE(25%)を貼合した包装袋例

図2 面積の異なるPEを組み合わせた青ネギ包装袋の酸素濃度(包装5日目)

図3 厚さの異なるPEを組み合わせた青ネギ包装袋の酸素濃度(包装6日目)

図4 青ネギにおける新包装袋の鮮度保持効果
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[その他]
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研究課題名:新開発フィルムによる鮮度保持技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度
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