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長崎県における水稲認定品種「イクヒカリ」の特性


[要約]
水稲「イクヒカリ」は、「どんとこい」に比べ出穂期で1〜4日、成熟期で2〜3日早い早生の早である。収量性は「どんとこい」並であるが、対馬では「ヒノヒカリ」より多収である。玄米の外観品質はやや優れ、食味も「ヒノヒカリ」並の極良食味である。

[キーワード]
イネ、認定品種、イクヒカリ、極良食味

[担当]
長崎総農林試・作物園芸部・作物科

[代表連絡先]電話0957-26-3330	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
長崎県では「ヒノヒカリ」が水稲作付面積の約7割を占めており、1品種への集中は収穫作業や共同乾燥施設利用の分散、気象災害の回避等の面から問題となっている。また、対馬では、本土部に比べ高緯度にあるため登熟期間の気温が低く「ヒノヒカリ」は玄米の充実が悪く、収量、品質が低下するため収量性の高い早生品種の選定が求められている。 一方、早生の早である「どんとこい」は、年次により乳白粒が発生しやすく品質の低下がおこりやすいため、作付面積は減少している。 このため「ヒノヒカリ」と熟期分散ができ、かつ「どんとこい」より良質、良食味早生品種の選定が必要である。

[成果の内容・特徴]
「イクヒカリ」(越南148号/北陸148号:福井県農業試験場育成)は「どんとこい」と比較して次のような特性を有する。

  1. 出穂期で1〜4日、成熟期で2〜3日早い“早生の早”である(表1)。

  2. 稈長はやや長く、耐倒伏性は同等である(表1)。

  3. 穂長は長く、穂数は少なく、一穂籾数は多い(表1)。

  4. 玄米の千粒重はやや重い(表1)。

  5. 収量性は「どんとこい」並で「ヒノヒカリ」よりやや低収であるが、対馬では「ヒノヒカリ」より千粒重が重く、多収である(表1)。

  6. 玄米の外観品質は乳白粒がやや少なく、やや優れる(表1)。

  7. 食味は「ヒノヒカリ」並に優れる極良食味である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 対馬を対象に、「どんとこい」と「ヒノヒカリ」の一部に替えて約100haに普及予定である。

  2. 多肥栽培で増収するが、乳白粒の発生が多くなるので、極端な多肥栽培は避ける。

[具体的データ]

表1 生育、収量、品質


表2 食味試験結果

[その他]
研究課題名:稲・麦・大豆奨励品種決定調査
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2005年度


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