味噌加工用裸麦品種「トヨノカゼ」の大分県における特性
- [要約]
- 「トヨノカゼ」は「イチバンボシ」と同程度の早生で、収量が10%程度多い。軟質で精麦白度が高く、ポリフェノール含量も少なく味噌加工に適することから、平坦地向けの裸麦奨励(認定)品種に採用する。
- [キーワード]
- トヨノカゼ、軟質、低ポリフェノール、味噌加工用
- [担当]
- 大分農研セ・水田農業研
[代表連絡先]電話0978-37-1141
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
大分県では、味噌用裸麦「イチバンボシ」が県産麦の主力品種の一つであるが、地元実需者から全国の出回り品種が「イチバンボシ」に限定されるため、大分県限定原料供給の要望が強い。そこで、実需者ニーズに沿った「地元オリジナル品種」の生産と供給を目的に、味噌加工用裸麦品種を選定する。
-
[成果の内容・特徴]
-
トヨノカゼは「イチバンボシ」と比較して以下のような特徴がある。
-
出穂期、成熟期は同程度の早生品種である(表1)。
-
稈長は5cm程度長く、穂長は同程度である。穂数はやや少ない。耐倒伏性は同程度に強い(表1)。
-
収量は10%程度多く、千粒重は同程度である(表1)。
-
検査等級は同程度である(表1)。
-
赤かび病の発生は同程度であるが、ヤケ粒の発生はやや多い(表1)。
-
精麦品質は軟質で搗精に要する時間が短く、精麦白度も高い(表2)。
-
ポリフェノール含有量は少なく、味噌にしたときの色相が条溝の有無に関わらず明るい(表3、表4)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
ヤケ粒がやや発生しやすいので、成熟後速やかに収穫する。
-
大分県内平坦地の栽培に適する。
-
[具体的データ]
-

表1 「トヨノカゼ」の生育・収量・品質調査

表2 九州麦類品質協議会による「トヨノカゼ」の島精試験結果(75%島精時)

表3 「トヨノカゼ」のポリフェノール含有量

表4 麹配合歩合及びフンドシ(条溝)有無別味噌の色相調査(H10年産)
-
[その他]
-
研究課題名:1.麦類奨励品種決定調査2.焼酎及び味噌原料用大麦の高品質生産技術
予算区分 :県単
研究期間 :課題1(1996〜2004年度)、課題2(1996〜1998年度)
目次へ戻る