Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成17年度目次

醤油醸造用小麦の尿素葉面散布による実肥省力施肥法


[要約]
尿素3%溶液を穂揃期と穂揃期後7日の2回、または6%溶液を穂揃期に1回葉面散布することで子実のタンパク質含有率が13%以上となり、赤かび病防除作業と同時に行える省力施肥法として有望である。

[キーワード]
ニシノカオリ、ミナミノカオリ、赤かび病、葉面散布、尿素、タンパク質

[担当]
大分農研セ・水田農業研

[代表連絡先]電話0978-37-1141	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
大分県内では醤油醸造企業の協力のもと、硬質小麦「ニシノカオリ」、「ミナミノカオリ」による地産地消を進めている。実需側からは醤油醸造用として、タンパク質含有率13%以上が要望されており、これまでに開花期以降の窒素追肥がタンパク質含有率の向上に効果があることがわかっている。しかし、大規模産地では開花期以降の粒剤散布に多くの労力を要することが問題となっている。そこで、尿素溶液と赤かび病防除剤との混用散布による実肥の省力施肥法について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 3%尿素溶液の穂揃期と穂揃期後7日の2回散布により「ニシノカオリ」、「ミナミノカオリ」ともタンパク質含有率13%以上を確保できる(表1)。各時期の1回散布では、タンパク質含有率が13%に達しない(データ省略)。

  2. 3%尿素溶液の穂揃期1回散布と実肥4kg/10aを組み合わせることによって、「ニシノカオリ」、「ミナミノカオリ」ともタンパク質含有率を13%以上にできる(表1)。

  3. 6%あるいは10%尿素溶液の穂揃期の1回散布により「ニシノカオリ」、「ミナミノカオリ」ともタンパク質含有率を13%以上にできる(表2)。

  4. 尿素溶液の散布により葉焼け・芒焼け・頴焼けが発生し、高濃度ほどその程度が著しいが収量および品質低下は認められない(表1表2写真1写真2)。

  5. 乗用管理機(ブームスプレーヤー)での赤かび病防除同時散布で省力化できる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 尿素溶液の散布はチオファネートメチル剤との混合施用である。

  2. 尿素の葉面散布により成熟期が2〜4日程度遅れる。

[具体的データ]

表1 尿素溶液葉面散布と小麦の生育・収量及び品質(2004〜2005年度)


表2 6%・10%尿素溶液葉面散布と小麦の生育・収量(2005年度)


写真1 10%尿素散布18日後


写真2 手前が10%尿素散布区奥が6%区14日後

[その他]
研究課題名:中山間を含む中九州地域における早生小麦品種系統の高位安定栽培技術の開発
予算区分 :ブランドニッポンI系
研究期間 :2003〜2005年度

目次へ戻る