畳表の黒変色茎発生に及ぼす品種および施肥条件の影響
- [要約]
- 畳表筵面に発生する黒変色茎の主な原因は、部分変色茎と考えられ、イグサ栽培において追肥を基準より10日早く開始した場合に、より多く発生し、部分変色茎の少ない「ひのみどり」は、黒変色茎が少ない。
- [キーワード]
- イグサ、畳表、黒変色茎、部分変色茎、追肥
- [担当]
- 熊本農研セ・い業研・加工研究室
[代表連絡先]電話0965-52-0372
[区分]九州沖縄農業・水田作(いぐさ)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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一部の畳表において、退色が進むと畳表に筋状の黒変色茎が現れ、これが畳表の品位を損なう原因となっている。しかし、その発生要因については解明されていない。そこで、高品質畳表生産を目的として、黒変色茎の発生原因及び畳表の黒変色茎発生に及ぼす品種、施肥条件の影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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部分変色が発生している茎の中央部は、部分変色が発生していない茎と比較して、退色後茶褐色〜黒褐色となる。また先枯れは、退色後、先枯長以上の長さの黒変色となり、莚面に混入する。(表1、図1)
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出芽時期が早い茎(古い茎)は、出芽時期が遅い茎(新しい茎)より、先枯れが長く、部分変色茎の割合が多いため、退色後、黒変色茎になる割合が高い。また、「ひのみどり」より「岡山3号」の方が部分変色茎の割合が高く、長いイグサにおいてその傾向は顕著である。(図2)
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退色後に発生する黒変色茎は、原草長さ105〜120cm及び120cm以上において、「ひのみどり」より「岡山3号」の方が、また標準追肥より早期追肥(標準追肥より10日早く追肥を開始)で栽培した場合に有意に多い。窒素施肥量、乾燥温度条件においては、有意差は認められない。(図3)
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上記3の理由は、黒変色茎の原因と考えられる部分変色茎の割合が、「ひのみどり」より「岡山3号」の方が高く、また標準追肥より10日早く追肥を開始した場合、部分変色茎の割合が高い早期出芽茎(古い茎)が伸長するためと考えられる。(図2、図3)
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[成果の活用面・留意点]
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畳表の黒変色茎の発生防止のための栽培加工技術に活用する。
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[具体的データ]
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表1 部分変色の有無と退色後の黒変色割合の関係
図1 イグサの先枯れ部位と黒変色位置の関係

表2 収穫後における各節位別の茎長、先枯れ長さ、部分変色茎割合の関係

図3 各要因が畳表の黒変色茎発生に及ぼす影響(畳表の端から4〜5配目)
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[その他]
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研究課題名:高品質畳表生産のための黒変色茎発生要因と対策
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2004年度
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