Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成17年度目次

日日交雑系統に由来する遺伝解析集団の開発と米の食味関連形質に関するQTL


[要約]
食味の遺伝領域を解析するための、森田早生/コシヒカリの交配後代から連鎖地図の作製を行い、単粒系統法により組換自殖系統(RI系統)の開発を行った。また、同材料を用いてQTL解析を行い、出穂期と理化学的特性に関する複数のQTLを見出した。

[キーワード]
イネ、食味、DNAマーカー、連鎖地図、QTL解析

[担当]
福岡農総試・農産部・水稲育種チーム

[代表連絡先]電話092-924-2937	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
食味の遺伝解析を行うにあたっては、日本稲同士の食味の差が主眼であることから、日本稲同士の交配(日日交雑)による解析材料の育成が急務であった。今回、DNAマーカーによる良食味品種選抜のため、日日交雑による遺伝解析材料を養成し、出穂期と理化学的特性に関するQTL解析を行った。

[成果の内容・特徴]
  1. 森田早生(食味劣)/コシヒカリ(食味優)の交配後代から、単粒系統法により食味関連形質の遺伝解析を行うための92系統の組換え自殖系統(RI系統)集団を開発し、MAP MAKER/EXP3.0を用いて連鎖地図の構築を行った(図1)。

  2. QTL Cartographer2.0を用いてQTL解析を行い、出穂期と理化学的特性に関する複数のQTLを見出した(図1表1)。出穂期のQTLは染色体2・6に、タンパク質含有率のQTLは染色体2・6・9に、アミロース含有率のQTLは染色体3・7・9・12に、テクスチャー特性値のQTLは染色体3にそれぞれ見出された。

[成果の活用面・留意点]
  1. 検出されたQTL近傍のDNAマーカーをより充実させ、マーカー選抜の実用化を目指す。また食味官能試験の総合値、粘り、味に関するQTL解析を今後行う必要がある。

  2. 用いたDNAマーカーはSSRマーカーであり、その配列情報はインターネット上のGrameneホームページ(http://www.gramene.org/index.html)より入手可能である。

[具体的データ]

図1 森田早生/コシヒカリのRI系統を用いた連鎖地図と出穂期と理化学的特性のQTL


表1 森田早生/コシヒカリRI系統で見出された出穂期および理化学的特性に関するQTL

[その他]
研究課題名:DNAマーカー利用による水稲、二条大麦の効率的育種技術の開発
予算区分 :県単特研
研究期間 :2001〜2004年度


目次へ戻る