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ダイズの無中耕無培土栽培における窒素固定能の変動要因と生育、収量との関係


[要約]
ダイズの窒素固定能は播種時期の早晩による影響を大きく受け、7月上旬播種で窒素固定能が高く、栽植密度の影響は認められない。また倒伏すると窒素固定能は低下し、窒素固定能と収量および地上部乾物重との間には正の相関が認められる。

[キーワード]
乾物重、収量、ダイズ、窒素固定能、播種時期、栽植密度、倒伏

[担当]
福岡農総試・農産部・栽培品質チーム

[代表連絡先]電話092-924-2937	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
ダイズは吸収、利用する窒素を根粒の窒素固定と土壌由来窒素に依存していることから、安定多収のためには地力の向上と同時に、根粒の窒素固定能を高めることが重要である。そのためには、ほ場条件下でのダイズ根粒の窒素固定能維持に関与する環境要因を明らかにして、窒素固定能からみた最適栽培条件を明確にすることが必要不可欠である。そこでダイズの播種時期や栽植密度と窒素固定能との関係を生育や収量面から解析し、窒素固定能からみた水田転換畑作ダイズの安定多収のための栽培条件を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 7月上旬播種は7月下旬播種に比べて子実肥大期の窒素固定能は高く、子実重は重い傾向がみられる。栽植密度や中耕培土が窒素固定能に及ぼす影響は認められない(表1)。

  2. 子実肥大期の窒素固定能は、倒伏程度が大きくなると低下する(図1)。

  3. 台風の影響が大きい2004年度を除き、子実肥大期のm2当たり窒素固定能と子実重との間には正の相関関係が認められる(図2)。

  4. 子実肥大期の窒素固定能と地上部乾物重との間には正の相関関係が認められ、地上部の生育量が大きいと窒素固定能が高い(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ダイズ品種「サチユタカ」を用いた無中耕無培土栽培における結果である。

  2. ダイズの生産技術指針に登載し、窒素固定能を活用した肥培管理を行うための知見として活用する。

[具体的データ]

表1 子実肥大期における播種時期、栽植密度別の窒素固定能と子実重との関係


図1 子実肥大期の倒伏程度と窒素固定能との関係


図2 各年度における子実重とm2当たり窒素固定能との関係


表2 m2当たり窒素固定能と地上部乾物重との相関係数(7月下旬播種)

[その他]
研究課題名:根粒菌を活用した水田転換畑大豆の高タンパク・安定生産技術の確立
予算区分 :ブラニチ2系
研究期間 :2002〜2005年度


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