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裸地仕様ニンジンハーベスタの作型適応性拡大


[要約]
裸地仕様ニンジンハーベスタは生分解性フィルムを利用したマルチ栽培ならびにトンネル被覆処理による厳冬期茎葉生育促進とハーベスタの簡易改良で、秋まきマルチ栽培への利用が可能である。

[キーワード]
ニンジン、収穫、ハーベスタ、生分解性フィルム、トンネル被覆

[担当]
鹿児島県農業試験場・大隅支場・農機研究室

[代表連絡先]電話0994-62-2001	
[区分]九州沖縄農業・畑作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
鹿児島県のニンジン栽培は、夏まき裸地栽培、秋まきマルチ栽培合計約550haが栽培され、裸地・マルチ両仕様ニンジンハーベスタの導入が図られている。夏まき栽培では問題は無いが、秋まきマルチ栽培では厳冬期収穫時の茎葉繁茂量が少なく、機械収穫が困難な状況にある。また、農家は両作型毎に機械導入が必要になることから、ニンジンハーベスタの裸地・マルチ両作型適応性拡大と厳冬期における作業性向上を図るため、マルチ資材と被覆処理の組み合わせによるハーベスタの作型適応性拡大技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 裸地仕様ニンジンハーベスタは、全長393cm、全幅195cm、全高173cm、質量1,010kgで、掘取部は2連ソイラによる1条掘りでベルトによる茎葉挟持引抜き方式である。作型適応性拡大のための改良点は、引抜き精度向上対策のソイラ形状改良、生分解性フィルム片飛散防止対策の茎葉落下部への飛散防止カバー及び土中鋤込み装置の装着である(図1)。

  2. マルチ資材は従来のポリフィルムに代えて生分解性フィルムを利用することにより、改良した裸地仕様ニンジンハーベスタでの収穫が可能である。収穫時の生分解性フィルム片飛散防止法として、ハーベスタ後方の茎葉落下部への飛散防止カバーと茎葉混入フィルム片の土中鋤込み装置の装着でほ場外飛散は防止できる(表1)。

  3. 厳冬期収穫を可能にするためのトンネル被覆処理は、保温性に優れた長繊維・割繊維不織布が茎葉生育促進効果が高く、年次間変動も少ない。徒長防止や病気発生を抑制するため、被覆は葉長35cmが確保できたら除去する(図2)。

    葉長35cm確保時点でトンネル被覆を除去することで、収穫時の引抜きミスは3%程度である。収穫時までの継続被覆は、特に畦中央部で茎葉の軟弱徒長と絡みが発生し引抜きミスが多くなる傾向がある(図3)。

  4. 作業能率は4.9h/10a(延べ9.7h/10a)で、人力対比7.5倍である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 夏まき裸地栽培で利用するときは、純正ソイラを利用する。

  2. 改良型ソイラ、飛散防止カバー、土中鋤込み装置の部品は市販されている。

  3. マルチ資材は生分解性フィルムを利用し、孔あけ加工は条間14cm以上とする。

  4. 被覆方法はべた掛けより効果の高いトンネル被覆を行う。

[具体的データ]

図1 裸地仕様ニンジンハーベスタの作型適応性拡大


表1 裸地仕様ニンジンハーベスタの生分解性フィルム片飛散状況


図2 被覆処理の効果


図3 裸地仕様ニンジンハーベスタの作業精度


表2 収穫作業能率

[その他]
研究課題名:栽培手法の共通化によるカンショ・露地野菜を基幹とした高収益畑輪作体系の確立
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :2003〜2005年度


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