黒毛和種去勢牛の肥育用乾草として使える飼料イネ
- [要約]
- 出穂期に刈り取った飼料イネを3日程度乾燥し、ロールで梱包した後ラッピングして貯蔵すると、肥育前期に給与する乾草として利用できる。
- [キーワード]
- 飼料イネ、β-カロテン、乾草、ビタミンA
- [担当]
- 佐賀畜試・大家畜部・肉用牛研究担当
[代表連絡先]電話0954-45-2030
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
- 飼料作物の自給率を向上させる新しい飼料として飼料イネ栽培の拡大が見込まれる。最も利用されるホールクロップについては、最近栽培や給与方法が確立された。しかし、乾草としての利用方法がまだ確立されていない。
そこで、飼料イネを乾草として利用するための乾草調製、貯蔵および給与方法を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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飼料イネの乾草調製は、出穂期にモアコンディショナーで刈り取り、3日間天日で乾燥した後、ロールで梱包してラッピングする。
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飼料イネの給与時の栄養価は、良質乾草であるチモシーよりやや低いものの、β-カロテン含有量は同程度が確保できる(表1)。
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飼料イネ乾草の摂取量は、1日1頭当たりで最大5kgであり、高い嗜好性がある(図1)。
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飼料イネ乾草は、肥育牛のビタミンAをコントロールするために必要なビタミンA供給源として利用できる(図2)。
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枝肉重量および肉質ともに問題はないことから、飼料イネ乾草は肥育用乾草の一つとして利用することができる(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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天日乾燥する場合は、モアコンディショナー等によりできるだけ茎葉をつぶし、乾燥し易いようにする。
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出穂期の飼料イネ乾草は、CPやTDNがやや低いので、給与時に濃厚飼料で補完する必要がある。
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血中ビタミンA濃度は、肥育開始後3ヶ月間の給与では肥育後期に20IU/dl程度まで低下したので、給与期間や給与量についてさらに検討する必要がある。
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[具体的データ]
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表1 飼料イネ乾草の原物中の成分組成

図1 飼料摂取量の変化

図2 血中ビタミンAの変化

表2 飼料イネを給与した牛の枝肉成績
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[その他]
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研究課題名:新鮮でおいしい「ブランド・ニッポン」農産物提供のための総合研究
(飼料イネの乾草調整過程におけるβカロテン含量の推移と肉用牛への給与技術の確立)
予算区分 :国庫
研究期間 :2003〜2005年度
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