回分式活性汚泥浄化処理における缶詰シロップ廃液の窒素除去促進効果
- [要約]
- 食品製造業者から排出される缶詰シロップ廃液は、活性汚泥処理における脱窒の水素供与体として有効活用が可能であり、回分式活性汚泥浄化処理において、間欠運転の休止期に添加することでBOD除去率を低下させることなく、窒素除去率が向上する。
- [キーワード]
- 回分式活性汚泥浄化処理、間欠運転、缶詰シロップ廃液、窒素
- [担当]
- 長崎畜試・企画・環境科
[代表連絡先]電話0957-68-1135
[区分]九州沖縄農業・畜産・草地(畜産環境)
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
これまで、回分式活性汚泥処理施設は、曝気、休止を繰り返す間欠運転を行い、休止期に水素供与体を添加することで、窒素除去が向上することが知られている。一方、県内大手の食品製造業者から約9,800t/年の缶詰シロップ廃液が排出され、一部産業廃棄物として処分されている。この缶詰シロップ廃液は、糖分を含むことから、地域のバイオマスとして有効活用が求められている。そこで、回分式活性汚泥処理施設を間欠運転し、かつ脱窒を促進する水素供与体として缶詰シロップ廃液の有効活用を検討する。
-
[成果の内容・特徴]
-
- 回分式活性汚泥浄化処理において、曝気期に2時間間隔で間欠運転を行い、休止期に缶詰シロップ廃液(ショ糖3.7%,果糖6.2%,ブドウ糖6.1%含有、BOD48,000mg/L、pH3.41)を投入汚水の約1/1000量(処理水中のNOx-N/BODが0.3〜0.5となる設定計算)添加することで、連続運転に比べ窒素除去率が向上する(図1、表1、表2)。
- 回分式活性汚泥浄化処理において、間欠運転を行い休止期に缶詰シロップ廃液を添加しても、連続運転に比べ処理水中のBOD濃度の上昇は認められない(表1)。
- 回分式活性汚泥浄化処理において、間欠運転を行い休止期に缶詰シロップ廃液を添加しても、リン除去率の低下は認められない(表1)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
- 食品製造業者から排出される缶詰シロップ廃液は、家畜尿汚水の活性汚泥処理における脱窒の水素供与体として有効活用できる。
-
缶詰シロップ廃液の過剰の添加はBODの上昇を招くおそれがある。
-
[具体的データ]
-

図1 実験室規模での回分式活性汚泥処理の運転方式

表1 回分式活性汚泥処理における処理水の性状(実験室規模)

表2 回分式活性汚泥処理における缶詰シロップ廃液添加が排水中の窒素量に及ぼす影響(実規模)
-
[その他]
-
研究課題名:回分式活性汚泥法による家畜尿汚水浄化処理技術の検討
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2004年度
目次へ戻る