黒毛和種去勢牛肥育における飼料イネWCSの前期・後期給与技術
- [要約]
- 飼料イネWCSの肥育牛への給与は前期および後期に給与することは可能であり、イタリアン乾草に比べて肥育期間中の粗飼料の乾物摂取量が多くなる傾向にあり、特にモーれつ種は有意に乾物摂取量が増加し、枝肉成績が向上する傾向にある。
- [キーワード]
- 肉用牛、飼料イネホールクロップサイレージ、給与水準
- [担当]
- 宮崎畜試・飼養部・肉用牛科
[代表連絡先]電話0984-42-1122
[区分]九州沖縄農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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飼料イネホールクロップサイレージ(WCS)は稲ワラよりβーカロテンを含有していることから黒毛和種の肥育牛に対する給与については肥育前期に給与することが有効であり、肥育後期で給与することもビタミンコントロールの上からは問題ないとされる。肥育前期及び後期を通してのWCS給与と飼料イネの品種の影響について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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黒毛和種去勢牛肥育前期に各試験区においてモーれつ種WCS及びスプライス種WCSと対照区としてイタリアン乾草をTDN当たり20%給与しその後同じ粗飼料を後期に給与する。(表1)
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肥育前期において、飼料イネWCSの摂取量はイタリアンに比べて高く、さらにモーれつ種がスプライスに比べて高い。(図1)
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肥育後期においても飼料イネWCSの摂取量はイタリアン乾草に比べて高い傾向にあり、全期間でも飼料イネで摂取量は高く個体のバラツキが少ない。(図1)
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血液中のビタミンA濃度は前期で飼料イネWCS給与区が高い傾向にある。中期では各区とも低下し、16〜22か月齢では40IU程度を維持する。(図2)
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枝肉成績は、飼料イネWCS区でロース芯面積及び脂肪交雑(BMSNo.)は優れる傾向にあり、脂肪色でも問題はない。(表3)
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[成果の活用面・留意点]
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飼料イネWCSは肥育用粗飼料として前期および後期で給与が可能であるが、肥育前期においては適正な量のビタミンAの摂取が必要なことからビタミンAのコントロールに注意を要する。
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飼料イネWCSを中期に利用すると格付け等級は下がる場合があるので注意する。
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[具体的データ]
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表1 試験区分(粗飼料の種類と給与量)

表2 飼料イネWCS及び稲ワラの成分

図1 粗飼料摂取量の比較

図2 血中ビタミンAの推移

表3 枝肉成績
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[その他]
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研究課題名:稲発酵飼料活用肥育技術確立試験
予算区分 :国庫
研究期間 :2002〜2004年度
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