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ブドウ「翠峰」の簡易被覆平行整枝栽培における結果母枝5芽せん定による花穂の安定確保


[要約]
簡易被覆平行整枝栽培におけるブドウ「翠峰」は、5芽でせん定した結果母枝を主枝と平行に誘引することにより、花穂を安定的に確保できる。

[キーワード]
ブドウ、翠峰、花穂原基、せん定

[担当]
福岡総農試・果樹部・果樹育種チーム、果樹栽培チーム

[代表連絡先]電話092-922-4946	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
本県の育成品種であるブドウ「翠峰」は、H字型やダブルH字型などの簡易被覆平行整枝仕立てで短梢せん定すると花穂の着生が不安定となり易く、園地によっては花穂数が極端に不足し安定生産が困難となっている。そこで、このような平行整枝栽培で花穂を安定的に確保する技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 「翠峰」は「ピオーネ」に比べ花穂原基の分化、発達程度が劣り、結果母枝1芽あたりの花穂原基数は基部に近い節位で少ない傾向がある(図1)。また、下位節に比べ高位節では花穂原基の分化率は高く、発達程度も良いが、分化した花穂原基が主芽の枯死によって失われる場合がある(データ略)。

  2. 結果母枝当たりの花穂着生数は、5芽せん定のほうが3芽せん定より有意に多くなる。また、花穂数を確保するために必要な結果母枝数は、主枝1mあたり5芽せん定では4本以上、3芽せん定では9本以上である(表1)。なお、3芽せん定では側枝の伸び上がりが著しく、栽培性が非常に悪い(データ略)。

  3. 果実品質は、5芽せん定と3芽せん定との間に差は認められない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ブドウ「翠峰」の簡易被覆平行整枝栽培における花穂の安定確保技術として利用できる。

  2. 5芽せん定した結果母枝は主枝1m当たり両側で4〜5本をとり、主枝と平行となるよう誘引する。

  3. 芽傷などの発芽促進処理により結果母枝の基部に近い節位から新梢の発芽を促し、次年度の結果母枝の確保を図る。基部近くから発芽した新梢の伸長および充実が劣り、5芽せん定の結果母枝として適さない場合は、1芽でせん定を行って予備枝とする。

[具体的データ]

図1 「翠峰」および「ピオーネ」の節位別花穂原基数(2002〜2004年度)


表1 「翠峰」の結果母枝のせん定節位と花穂着生数(2004年)


表2 「翠峰」の結果母枝のせん定節位と果実品質(2004年)

[その他]
研究課題名:ブドウ‘翠峰'および‘ピオーネ'における花穂の安定確保技術の確立
予算区分 :経常
研究期間 :2001〜2004年

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