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カキ「太秋」の平棚栽培による早期収量確保


[要約]
雌雄同株品種のカキ「太秋」で平棚栽培を行うと、立ち木栽培に比べて1樹当たりの結果母枝数が増加傾向となって、雌花数も早期に増加し、平棚移行後4年間の累積収量が顕著に多くなる。果実品質は仕立て法による顕著な差異は認められないが、果実重が平棚栽培で重くなる。

[キーワード]
カキ、「太秋」、平棚栽培、結果母枝、雌花数、収量、果実重

[担当]
福岡農総試・果樹部・果樹栽培チーム

[代表連絡先]電話092-922-4946	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
カキ「太秋」は同一樹内に雌花と雄花を着生する雌雄同株の品種で、樹齢の進行に伴って雄花が増加し、雌花が減少して収量が不安定となりやすい。一方、平棚栽培は、結果母枝の確保や着らいの安定により収量が増加し、果実肥大や着色促進、糖度上昇などの高品質果実の生産が可能である。そこで、雌雄同株品種の「太秋」に平棚栽培を適用して、結果母枝や雌花、収量の早期安定確保と果実品質向上に及ぼす効果について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 平棚栽培における1樹当たりの結果母枝数や新梢数は、平棚仕立てに移行してから5年間、安定して立ち木栽培より多い傾向にある(図1)。

  2. 1結果母枝当たりの雌花数は年次により変動し、1結果母枝当たりの雄花数は年次を経ると増加傾向となるが、仕立て法による顕著な違いは認められない(データ略)。結果母枝長別の雌花数は、平棚栽培、立ち木栽培とも結果母枝が長くなるほど増加し、特に平棚栽培では、50cm以上の結果母枝で雌花数が顕著に多くなる(図2)。

  3. 1樹当たりの雌花数は平棚栽培では早期に増加するが、年次を経るとその差は小さくなる(図3)。平棚栽培における収量は、立ち木栽培に比べて増加傾向となり、平棚仕立てに移行してから4年間の累積収量は顕著に多くなる(図4)。

  4. 果実品質(果皮色、糖度、果肉硬度、汚損、へたすき)は仕立て法による顕著な差異は認められないが、年次により果実重が平棚栽培で重くなる。(表1、一部データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. カキ「太秋」の早期収量確保のための平棚栽培技術資料として活用できる。

  2. 結果母枝が長いほど雌花数が増加するので、立ち木栽培よりも長めの結果母枝の確保に努める。また、長大な新梢も平棚に誘引し、次年度の結果母枝として利用する。

  3. 平棚栽培では雌花数が早期に増加するが、着果過多になると樹勢の低下、雌花の減少、雄花の増加を引き起こしやすくなるため、適正着果に努める。

[具体的データ]

図1 「太秋」の仕立て法の違いと1樹当たりの結果母枝数、新梢数(2001〜2005年)


図2 「太秋」の仕立て法の違いと結果母枝長別の雌花数(2004年)


図3 「太秋」の仕立て法の違いと1樹当たりの雌花数(2001〜2005年)


図4 「太秋」の仕立て法の違いと収量(2001〜2004年)


表1 「太秋」の仕立て法の違いと果実品質(2001〜2004年)

[その他]
研究課題名:カキの低樹冠栽培による安定生産技術の開発
予算区分 :助成試験(超省力園芸)
研究期間 :2001〜2004年度


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