ニホンナシ「幸水」における樹勢強化のための効果的な根接ぎ法
- [要約]
- ニホンナシ「幸水」に根接ぎを行う場合、「マンシュウマメナシ」台木を直接根接ぎするよりも「二十世紀」を中間台としたものを根接ぎする方が活着率も高く、その後の台木の生育も優れる。
- [キーワード]
- ニホンナシ、幸水、マンシュウマメナシ、二十世紀、中間台、根接ぎ
- [担当]
- 佐賀果樹試・落葉果樹担当係
[代表連絡先]電話0952-73-2275
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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現在、九州各県では主力品種の「幸水」の樹齢が進み、樹勢低下が問題となっている。そのような中で樹勢強化対策の一つに根接ぎが行われているが、「マンシュウマメナシ」の「幸水」への根接ぎは活着率が低いことや新梢(ひこばえ)の発生が多いため「マンシュウマメナシ」台木の生育が遅れることから、根接ぎの効果が上がっていない。そこで、「二十世紀」を中間台とした新しい根接ぎの方法について活着率の向上やその後の生育促進等根接ぎの効果を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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根接ぎ10ケ月後の活着率(接ぎ木部が癒合し、枯死してない状態)は、「マンシュウマメナシ」台より「二十世紀」を中間台にして接いだ方が高い(表1)。
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台木からの新梢(ひこばえ)発生本数は「マンシュウマメナシ」台が「二十世紀」中間台より多い(表2)。
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台木の生育量(直径)は「二十世紀」中間台が「マンシュウマメナシ」台より優れる(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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根接ぎは4月から7月までに行う。
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根接ぎ用台木は根接ぎ当年植え付けでは活着率が低下するため、前年の秋季までには寄せ植えを行う。
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根接ぎ用台木を植え付ける場合、発根促進のために植え付け土壌にピートモスを3割程度混ぜ合わせる。
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台木から発生した新梢は出来るだけ早い時期(4月下旬まで)に除去する。
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台木は輪紋病に感染しやすいため主感染時期である6月に薬剤防除を行う。
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[具体的データ]
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図1 中間台を用いた根接ぎ方法

図2 根接ぎ台木生育(直径)の経時的変化

表1 根接ぎ後活着率の差異(2002年4月)

表2 台木からの新梢(ひこばえ)発生調査(2004年)

写真根接ぎ手順
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[その他]
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研究課題名:ナシ幸水の多収安定生産のための樹体新管理技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2005年度
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