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ブドウ赤色系品種「安芸クイーン」のハウス栽培における着色向上に効果的な環状はく皮と無袋処理


[要約]
ハウス栽培の「安芸クイーン」は、開花35日後頃に主幹部に幅2cmの環状はく皮処理を行うと糖度が高くなり、着色が向上する。さらに着色期に果実袋をはずし果房に光を当てると赤味の強い鮮紅色の果房生産ができ、商品化率が向上する。

[キーワード]
ブドウ、安芸クイーン、環状はく皮、着色、糖度

[担当]
佐賀果樹試・落葉果樹研究担当係

[代表連絡先]電話0952-73-2275	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
赤色系ブドウ「安芸クイーン」は食味良好で大粒な有望品種であるが、佐賀県を含め西南暖地では2月中旬以降に加温するハウス栽培から簡易被覆、露地栽培にいたるまで着色が悪く、品種本来の鮮紅色にならず、生産が伸び悩んでいるのが現状である。そこで、環状はく皮処理と果房に光を当てるための無袋処理により品質向上を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 糖度は、開花35日後頃に環状はく皮処理をすると収穫期まで高く推移する。酸度は、環状はく皮処理によって低く推移し、収穫期まで低い(図2)。

  2. 環状はく皮処理をすると収穫時の糖度が高くなり、着色が向上し赤味が強くなる。着色は環状はく皮と無袋処理の組み合わせでさらに向上する(表1写真1)。

  3. 環状はく皮処理をすると品質が向上して早期収穫が可能となり、商品化率が高くなる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 2月中下旬に加温するハウス栽培「安芸クイーン」の有核栽培において品質向上と熟期促進技術として活用できる。

  2. 環状はく皮は樹勢低下の恐れがあるので樹勢が弱い樹には処理をしない。

  3. はく皮部は害虫の食害に注意し、必要に応じて殺虫剤を散布する。

  4. 着果過多は着色不良を招く大きな要因であり、環状はく皮の効果も劣るので必ず適正着果量(1.2〜1.5t/10a)を守る。

[具体的データ]

図1 はく皮位置と処理直後の状況


図2 満開32日後の環状はく皮処理が加温ハウス栽培「安芸クイーン」の糖度、酸味におよぼす影響(2005年)


表1 環状はく皮および無袋処理がハウス栽培「安芸クイーン」の果実品質および商品化率におよぼす影響z)


写真1 「安芸クイーン」の環状はく皮および無袋処理による着色向上効果

[その他]
研究課題名:赤色系、白色系ブドウ新品種の栽培技術確立による新商材の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2005〜2010年度


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