カンキツ「不知火」における土壌水分が果実品質に与える影響
- [要約]
- 「不知火」は満開後90日以降では、早い時期に土壌乾燥するほど果実品質へ与える影響は大きく、より高糖・高酸となる。高品質果実生産のためには、品質へ影響を及ぼす夏季の土壌乾燥を避け、秋季以降に乾燥させるような水管理を行う。
- [キーワード]
- 中晩生カンキツ、不知火、土壌水分、果実品質
- [担当]
- 大分農林水産研果樹・津久見試験地
[代表連絡先]電話0972-82-2837
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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中晩生カンキツ「不知火」は、糖度が高い反面クエン酸含量も高く、栽培地域や園地によっては酸高が問題となり出荷時期の遅れ等、経営に影響を及ぼすことがある。そこで、期間中の土壌水分が果実品質に与える影響を明らかにし、高品質果実生産のための土壌水分管理技術を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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土壌水分含量は、無かん水により5〜10%まで乾燥し、かん水期間中は20〜30%であった(図1)。
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果実肥大は土壌乾燥により抑制され、かん水再開により回復する。土壌乾燥時期が早いほど肥大に及ぼす影響は小さい。果実発育後期に土壌が乾燥すると果実肥大は抑制される(データ略)。
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収穫果実の階級割合は継続かん水区に次いで、乾燥時期の早い区ほど大玉果の割合が高くなる。後期の乾燥ほど果実肥大へ影響を及ぼす(図2)。
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土壌乾燥により高糖高酸になるが、乾燥時期が早いほど果実品質に及ぼす影響は大きい(図3、図4)。
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果実発育早期にクエン酸含量が高いと、その後かん水を実施しても減酸は困難である(図4)。
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[成果の活用面・留意点]
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「不知火」の加温栽培、露地栽培の水管理方法に活用できる。
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露地栽培では、気温が低下してからの減酸はあまり期待できない。果実生育前期に土壌が乾燥しないように土壌水分管理を行い、クエン酸含量を低く抑えておく必要がある。
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本試験成績は、屋根かけ栽培された「不知火」での結果である。
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[具体的データ]
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図1 土壌水分含量の推移(2003年)
図2 階級割合(2003年)
図3 糖度の推移(2002〜2004年平均値)
図4 酸含量の推移(2002〜2004年平均値)
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[その他]
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研究課題名:高品質中晩生カンキツの栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2004年度
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