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ハウス栽培キンカンの秋期昼温管理による果実肥大促進並びに品質向上


[要約]
着果が7月中旬以降になった場合の対処法として10月中旬以降、昼温を摂氏27度で管理することで、果実のす上がりはやや助長されるが、肥大促進と品質向上効果がある。

[キーワード]
キンカン、秋期昼温管理、肥大促進、品質向上

[担当]
宮崎県総合農試・亜熱帯作物支場

[代表連絡先]電話0987-64-0012	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
キンカンは四季咲き性で年間4〜5回開花を繰り返すが、経済的には1番花を多く結実させることが重要である。開花期の高温等により着果が遅れると果実肥大が劣り、熟期も遅れる。そこで、着果が7月中旬以降に遅れた場合の対処法として、秋期のビニル被覆以降の温度(昼温)管理について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 果実肥大は昼温摂氏27度区で最も優れ、12月中旬から差がみられる。この傾向は収穫期にはさらに大きくなり、摂氏30度区と無処理区で劣る(表1)。

  2. 2L以上の大果割合は摂氏27度区で高く、他の2区は低い。1果平均重についても同様である(表2)。

  3. す上がりは発生率、発生度とも高昼温ほど助長されたが、品質的には問題はない。摂氏24度区と無処理区で無す上がり果が多く、酸高の傾向がみられる(表3)。

  4. 果実品質については、高昼温ほど高糖低酸の傾向がある。また、す上がり程度が同じでも、設定温度が低い区ほど酸高の傾向がある(表4)。

  5. 果皮色は摂氏27度区のa値(赤色)が最も高く、無処理区で低い。b値(黄色)は無処理区や摂氏24度区で高く、黄橙色となる(表略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 寧波キンカンの4年生(ボックス植栽樹)を各区4樹用いて、10月15日から翌1月31日まで下表により昼温を変えて処理した。最低温度(夜温)は全区同じで、15日毎に摂氏2度下げ、1月15日から搬出までは摂氏5度とした。昼温は12月15日以降は徐々に降温し、出庫直前は表中の()内温度とした。

  2. 1番花の開花は7月5日、2番花は7月16日で、9月上旬に1結果枝1果に摘果した。着果割合は1番果20%、2番果80%である。人工気象室搬入まではハウス外で、搬出後は同一条件(夜温摂氏3度,昼温摂氏12度)のハウス内とした。無処理区は露地条件とした。

  3. 夜温(最低温度)を摂氏18〜20度にすれば、肥大効果はさらに助長される。着色期には降温し、12月中旬以降は摂氏10度以下とする。

[具体的データ]

表1 昼温の違いが横径肥大に及ぼす影響


表2 昼温が果実肥大に及ぼす影響('05/2/22)


表3 昼温がす上がり発生に及ぼす影響('05/2/22)


表4 昼温が果実品質に及ぼす影響('05/2/23)

[その他]
研究課題名:「特産カンキツ」の産地化を目指す新技術のマニュアル化
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2004年度


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