Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成17年度目次

「大津四号」の高温処理による減酸促進


[要約]
「大津四号」の収穫後果実を、コンテナ(17kg程度)詰めして高温処理(摂氏35度、3日間)することで一度に大量の果実の減酸(23%〜28%)を促すことが可能であり、腐敗果や果皮障害の発生も見られない。

[キーワード]
大津四号、高温処理、減酸、腐敗果

[担当]
佐賀果樹試・常緑果樹研究担当

[代表連絡先]電話0952-73-2275	
[区分]九州沖縄農業・果樹」	

[背景・ねらい]
収穫時の酸高なカンキツ類果実の減酸処理方法として、高温処理(摂氏35度)による減酸促進効果が認められている。そこで温州ミカン「大津四号」において、大量の果実の減酸を短期間に促進し、商品化率を高めるためのコンテナ段積みでの高温処理技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 高温処理(摂氏35度)により、5段積みにしたすべてのコンテナの果実で一定の減酸が図られ、3日間で23%〜28%程度の減酸が促進される(表1図2図3)。

  2. 処理による糖度や香りへの影響は見られず、減酸により食味は向上する(表1)。

  3. 処理後1ヶ月間、常温貯蔵しても、腐敗果や果皮障害の発生は見られない(データ省略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. マルチ栽培された「大津四号」で2005年12月8日に収穫した果実を供試した。

  2. 果実はコンテナ(17kg程度)詰めして、サーモ付き電気ヒーター(220W)を設置した貯蔵庫(縦1.8m×横1.8m×高さ2.0m)内に5段積みにした(図1)。

  3. 処理期間は同年12月9日〜12月11日の3日間とし、貯蔵庫内の湿度はほぼ100%に設定した。

  4. 貯蔵庫内の湿度が低下した場合には、特に上段で減量が大きくなるため、ヒーターの配置に注意し、貯蔵庫内の温湿度を一定に保つとともに、最上段のコンテナを新聞紙等で被覆することにより、果実からの過剰な蒸散を抑えるようにする。

  5. 収穫時に果実に傷がある場合には、果皮に障害が発生しやすいため、果実の取り扱いには注意する。

[具体的データ]

図1 「大津4号」のコンテナ段積みでの高温処理


表1 高温処理による減酸促進


図2 収穫時のクエン酸含量分布


図3 高温処理後のコンテナ別クエン酸含量分布

[その他]
研究課題名:佐賀県が開発・育成したカンキツ有望新品種の生理生態及び栽培特性の解明
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2008年度


目次へ戻る