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家畜ふんペレット堆肥と被覆尿素を組み合わせた屋根掛けポンカンの施肥法


[要約]
牛ふん堆肥、鶏ふんペレット堆肥及び被覆尿素を用いることにより、慣行施肥法より施肥回数を年1回、年間窒素施肥量を12%削減できる。

[キーワード]
ポンカン、施肥、ペレット堆肥、被覆尿素

[担当]
鹿児島果樹試・化学研究室

[代表連絡先]電話0994-32-0179	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
鹿児島県では家畜排泄物が多量に産出するため、家畜ふん堆肥の有効利用が課題となっている。また、家畜ふん堆肥をペレット化し、野菜等におけるペレット堆肥の施肥技術が確立されつつある。そこで「吉田ポンカン」の屋根掛け栽培に対し、ペレット堆肥を活用した施肥技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 「吉田ポンカン」の屋根掛け栽培において、2月下旬に慣行の年間窒素施用量の40%を牛ふん堆肥と鶏ふんペレット堆肥1:1混合を、10月中旬に慣行の年間窒素施肥量の48%(60%の2割削減)を被覆尿素のリニア型70日及び180日の両タイプ1:1混合を施用する(表1)。

  2. 本施肥法の樹の成育、葉中無機成分含量及び果実品質は慣行施肥と同等で(データ略)、収量は慣行施肥より多い傾向にある(図1)。

  3. 地下1mの土壌溶液中の硝酸態窒素含量は、慣行施肥は6月上旬の施肥後に上昇するのに対し、本施肥法では年間を通して少なく、慣行施肥に比べ硝酸態窒素の溶脱が少ないが(図2)、土壌の表層に有効態リン酸が蓄積する傾向にある(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 牛ふん堆肥及び鶏ふんペレット堆肥の窒素の化学肥料代替率は、それぞれ30%及び60%として施肥量を計算する。

  2. 屋根掛け栽培では被覆尿素の溶出が遅れるため、適宜かん水を行う。

  3. 土壌診断により交換性塩基含量等が多い場合は、ペレット堆肥の施用量を減らし、被覆尿素の施肥割合を増やす。

[具体的データ]

表1 施肥量及び施肥時期(2004年)


図1 収量及び葉中窒素含量に及ぼす影響


図2 深さ1mの土壌溶液中の硝酸態窒素含量の推移(2004年)


表2 土壌の化学性に及ぼす影響(2004年12月、乾土100g当たり)

[その他]
研究課題名:持続性の高い農業生産施肥技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1996〜2004年度


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