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ウンシュウミカン「原口早生」における緑葉の分光特性と水分ポテンシャルとの関係


[要約]
ウンシュウミカン「原口早生」の樹に水分ストレスを負荷すると、緑葉における反射光の分光特性として、レッドエッジのブルーシフト現象を確認できる。シートマルチ栽培の強い水分ストレス下では、樹体の最大水ポテンシャルの変化とそのブルーシフトの変化が概ね連動する。

[キーワード]
ウンシュウミカン、原口早生、水分ストレス、緑葉、分光特性、レッドエッジ、ブルーシフト

[担当]
長崎果樹試・育種科、長崎工技セ・基盤技術部・電子技術科

[代表連絡先]電話0957-55-8740	
[区分]九州沖縄農業・果樹	
[分類]科学・参考	

[背景・ねらい]
ウンシュウミカンは、適度の水分ストレスを負荷することによって高品質果実の安定生産ができるが、適度な水管理の前提となる簡便な指標が存在しない。近年、リモートセンシングの分野で、植物が水分ストレスを受けると、その葉の反射光の分光特性として、レッドエッジ(急激に変化する680〜750nmの分光反射率を1次微分して得られる最大値の波長である。)が短波長側にずれる現象(ブルーシフト(図1))が起こることが確認されている。そこで、その応用を図り、ウンシュウミカンの水分ストレスを簡易に測定できる計測器の開発を進めている。本試験では、ウンシュウミカンの分光反射スペクトルを測定することで、樹体が受ける水分ストレスを評価できるか検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 「原口早生」緑葉では、700〜720nmの範囲にレッドエッジがある(図2)。

  2. 「原口早生」において、マルチ被覆時期と灌水量により土壌乾燥の程度を変えると、処理によりレッドエッジの波長の変動が異なり、強い乾燥でブルーシフト量が大きくなる傾向がある(図2)。

  3. 露地栽培のシートマルチ栽培により強い水分ストレスを負荷すると、最大水ポテンシャルとレッドエッジのブルーシフト量には、連動した変化がみられる(図3)。

  4. 露地栽培のシートマルチ栽培で弱い水分ストレスを負荷した場合は、最大水ポテンシャルとレッドエッジのブルーシフト量の間に連動した変化がみられない場合がある(図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本試験で使用している測定装置は、分光器、光源、反射プローブとの組み合わせによって構成されており、1点あたりの測定時間は約3秒と簡便である。

[具体的データ]

図1 レッドエッジのブルーシフト現象イメージ


図2 土壌乾燥の程度とレッドエッジの変化


図3 強ストレス条件における最大水ポテンシャルとレッドエッジの変化


図4 弱ストレス条件における最大水ポテンシャルとレッドエッジの変化

[その他]
研究課題名:非破壊検査手法を取り入れた農作物の高品質栽培技術の確立
予算区分 :国庫(H15公設試連携プロジェクト)
研究期間 :2003〜2005年度


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