カンキツ種子の成育に及ぼす重イオンビーム照射の影響
- [要約]
- カンキツ珠心胚実生の成育は低い線量でも影響を受け、特に15Gy以上の照射で抑制される。
- [キーワード]
- カンキツ、珠心胚実生、重イオンビーム
- [担当]
- 鹿児島果樹試・育種研究室
[代表連絡先]電話0994-32-0179
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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重イオンビーム照射による変異誘発技術は、カンキツ類の新品種開発に利用できるが、個体の成育に強く影響するような高い線量で照射すると、目的とする特性以外の形質を改変する可能性が高まる。そのため、成育に影響の少ない線量で照射し、変異を誘発することが重要である。そこで、カンキツの種子に重イオンビーム(炭素イオン)を異なる線量で照射し、珠心胚実生の成育に及ぼす影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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重イオンビームの照射は胚の発芽、発根に強く影響し、ポンカン「大谷山選抜」において、置床14日後の発芽率及び発根率は30Gy以上で低い。また、根長は30Gy以上で特に短い(表1、図1)。
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「紅将季」において、置床8日後の発根率及び根長は15Gy以上で劣り、56日後の発芽率及び葉数は15Gy以上で劣る(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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重イオンビームを利用したカンキツの珠心胚実生による育種において、照射線量の指標として活用できる。
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[具体的データ]
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表1 重イオンビームを照射したポンカン「大谷山選抜」の実生の成育

図1 重イオンビームを照射したポンカン「大谷山選抜」実生の置床14日後の成育

表2 重イオンビームを照射した「紅将季」の実生の成育
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[その他]
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研究課題名:カンキツの高品質で機能性に富む特産品種の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2004年度
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