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小型、軽量な太陽光発電を用いた農業用ハウスに適応できる自動換気システム


[要約]
小型、軽量なアモルファスシリコン太陽電池、小型バッテリー、マイクロコントローラおよび小型の巻き取りモータを用いた自動換気システムは、太陽光発電を活用し、温度感知によってハウスのサイドフィルムを自動開閉できる。

[キーワード]
太陽電池、マイクロコントローラ、換気、温度感知、自動開閉

[担当]
福岡農総試・野菜栽培部・野菜栽培チーム、太洋興業株式会社、島根大学

[代表連絡先]電話092-922-4364	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
世界的にCO2削減が求められる中、農業においても太陽光発電等のクリーンなエネルギーの活用が望まれている。従来の太陽光電池は重く、換気用巻き取りモータの作動には、待機時も電力を消費するために大型の電池及び多額の費用を要すること等が問題であった。しかし、近年、軽量薄型加工ができるアモルファスシリコン電池や消費電力を極めて少なくできるマイクロコントローラの開発が進み、農業場面で利用できるシステムの開発が期待できる。そこで、生産現場で普及している農業用のハウスに適応できる、小型、軽量な太陽光発電を用いた自動換気システムを開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 開発したシステムは、小型・軽量な太陽電池、蓄電用12Vの小型(28Ah程度)バッテリー、消費電力の少ないコントローラおよび直流12Vの小型な巻き取りモータ2個(ハウス両サイド用)を用いることにより、商用電力を用いずにハウスのサイドフィルムを温度感知によって自動開閉できる(図1表1)。

  2. 太陽電池は、材料がアモルファスシリコンで軽量・フレキシブルなため、専用のスペースや架台を必要とせず、ハウス内部の骨材にひも等で簡単に取付けられる(図1表1)。

  3. マイクロコントローラを用いて制御すると動作待機時の消費電力を従来のコントローラに比べて約1/30に減らせるため、太陽電池とバッテリーが小型になり、1システムの価格が16万円と安価である。また、太陽電池とバッテリーとの充放電制御と温度による巻き取りモータの動作制御を同時に行える(図1表1)。

  4. サイドフィルムを開閉する巻き取りモータは、農業用では国内で初めて直流12Vで駆動できるものであり、コントローラに電圧変換装置を搭載する必要がない(表1)。

  5. 巻き取りモータ2個は小型太陽電池1枚(発電量3.2W)で季節を問わず周年で作動できる(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 開発したシステムは、商用電力がない場所での利用が可能であり、停電によりシステムが停止することはない。

  2. 本システムは、600m2程度で1システム(太陽電池1枚、コントローラ1台、巻き取りモータ2台)16万円の販売で太洋興業(株)が平成17年3月から販売している。

  3. 本システムは、サイドフィルムの開閉の他に、ハウス内に展張する遮光資材の自動開閉にも利用できる。

  4. システムの設置は農家が自家施工できる。

[具体的データ]

図1 開発した小型、軽量で低コストな太陽光発電・自動換気システムの概要図


表1 開発した太陽光発電・自動換気システムの特徴及び仕様

[その他]
研究課題名:太陽光発電利用による低コスト型施設内複合環境制御システムの開発
      低コスト・低消費型環境制御システムの開発
予算区分 :高度化事業
研究期間 :2002〜2004年度

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