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秋ギク「神馬」の開花遅延防止のための温度管理


[要約]
秋ギク「神馬」は、親株時の摂氏10度以下の低温遭遇により開花が遅延する性質を獲得する。その場合、電照期間中の生育温度が低いと、開花時の葉数が増加し、開花期が大きく遅延する。4月出し栽培では、親株の夜間最低気温を摂氏15度、電照期間中を摂氏12度、消灯後を摂氏15度に加温することで、暖房経費が低減でき、品質のよい切り花が収穫できる。

[キーワード]
秋ギク、神馬、生育温度、開花遅延、暖房経費

[担当]
福岡農総試・花き部・花き栽培チーム

[代表連絡先]電話092-922-4958	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
秋ギク「神馬」は比較的低温で管理しても伸長性が大きく、秀品率も高いという優れた特性を有するが、10月以降に定植し1月から4月に出荷する作型では、開花が遅延する現象があり問題となっている。そこで、生育温度と開花遅延の関係について明らかにし、4月出し栽培における親株、電照期間中、消灯後の生育ステージごとの温度管理ついて検討し、開花が順調で、品質が良好となる栽培管理法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 「神馬」は親株時の摂氏10度以下の低温遭遇により開花が遅延し、開花時の葉数が増加する(図1図2)。

  2. 低温に遭遇した親株から採穂した苗では、電照期間中の生育温度が低い場合、花芽分化開始時期が遅れ、葉数が増加し、開花期が大きく遅延する(図3、一部データ略)。

  3. 4月出し栽培において開花遅延を防止するためには、親株の夜間最低気温を摂氏15度、電照期間中を摂氏12度、消灯後を摂氏15度に加温することで、開花は順調で花形の良好な切り花が収穫でき、暖房経費が低減できる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 秋ギク「神馬」の挿し芽苗利用による1〜4月出し栽培技術として利用できる。

  2. 電照期間中の夜間の最低気温は、実温で摂氏12度以上を確保する。また、昼温の低下も開花が遅延する原因となる。しかし、必要以上に昼温を高く設定すると、伸長性や秀品率が低下する場合があり、昼温は摂氏20〜23度程度を目安に管理する。

[具体的データ]

図1 親株の生育温度と定植後の開花反応(平成16年)


図2 親株の生育温度が定植(短日処理開始)後の増加葉数に及ぼす影響(平成16年)


図3 電照期間中の生育温度が定植(短日処理開始)後の発蕾までの所要日数と増加葉数に及ぼす影響(平成15年)


表1 生育ステージごとの夜間の最低気温と切り花形質および暖房経費(平成16年)

[その他]
研究課題名:秋ギク品種の選定と生育特性の解明
予算区分 :県単
研究期間 :2004年度(2001〜2004年)


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