大分県でのピーマンの雨よけ栽培における防虫ネットまたは黄色蛍光灯によるタバコガの防除効果
- [要約]
- ピーマンの雨よけ栽培におけるタバコガの防除には、4mm目合いの防虫ネットまたは黄色蛍光灯のいずれも効果が高く、被害果が減少し薬剤費や被害額が減少する。黄色蛍光灯はハウス外に10m間隔で設置すると効果が高い。
- [キーワード]
- ピーマン、雨よけ栽培、タバコガ、防虫ネット、黄色蛍光灯
- [担当]
- 大分農林水産研野茶・野菜担当
[代表連絡先]電話0974-22-0671
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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大分県のピーマン産地では、間口5.4〜6mのハウスで3割程度、間口1.8〜3mのハウスで7割程度栽培されている。病害虫ではタバコガ類による果実の食害が多く、幼虫は果実内に侵入するため、薬剤による防除では効果が劣る。このため、防虫ネットまたは黄色蛍光灯の防除効果を検討するとともに、間口3m以下のハウスでは、防虫ネットを展張すると外からの収穫等の作業性が悪くなるため、ハウスの様式毎に適応した防除技術を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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タバコガは4月下旬〜5月上旬から成虫の発生がみられ、8月〜10月に多発する(図1)。
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防虫ネット(目合い4mm)又は黄色蛍光灯を利用するとタバコガによる被害軽減効果が高い(図2)。
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黄色蛍光灯をハウス内に設置すると、栽培後半に草丈が高くなり、黄色蛍光灯の照射がハウス開口部に届かなくなるため被害果が増加する。黄色蛍光灯はハウス外に設置した方が効果が高い(図2)。
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ハウス外での黄色蛍光灯(40W)の設置の場合、光源から片側5m以上離れると照度が低下し、被害果が増加するため、概ね10m間隔(10基/10a)で設置する(図3)。
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防虫ネット(目合い4mm)を展張すると、ハウス内の気温は、展張しないハウスに比べ摂氏2度程度上昇するため(データ省略)、ピーマンの生育は若干旺盛になるが、収量等への影響は小さい(表1)。
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防虫ネット及び黄色蛍光灯の設置には12〜51千円/10a程度要するが、タバコガの被害果が減少し、薬剤費や被害額が減少するため、設置効果は高い(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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ハウス内への成虫の侵入は4月から認められることから、この時期から対策が必要となる。
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間口5.4m以上のハウスでは防虫ネットが有効であるが、間口1.8〜3mのハウスでは、防虫ネットを展張すると外からの収穫作業が困難なるため、黄色蛍光灯が有利である。
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[具体的データ]
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図1 フェロモントラップによるタバコガの誘殺数

図2 防虫ネット及び黄色蛍光灯の防除効果

図3 黄色蛍光灯からの距離別の被害果数(2005年)

表1 各資材のピーマンに及ぼす影響、並びに経費・被害額(2002年〜2004年平均)
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[その他]
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研究課題名:夏秋ピーマンの省力・軽作業栽培の確立とカラーピーマンの栽培技術確立
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2006年度
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