Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成17年度目次

小ネギ残さ堆肥の作成方法と施用技術


[要約]
小ネギ残さは、モミガラを添加してべた積みすると、夏期は4週間で堆肥化でき、小ネギ栽培に施用すると慣行堆肥と同等の収量、品質が得られ、化学肥料を3割減肥できる。

[キーワード]
小ネギ、残さ、堆肥、減肥

[担当]
大分農林水産研野茶・宇佐試験地

[代表連絡先]電話0978-37-1141	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
小ネギ栽培では出荷量とほぼ同量の残さが生じており、これを地域資源として活用することが今後重要になると考えられる。そこで、小ネギ残さを利用した堆肥の作成方法と栽培への利用効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 小ネギ残さのべた積みの方法は、残さ100kg当たりモミガラを30kg混和し、水30リットルを加えて十分湿らせる。べた積みでは残さの切断の有無にかかわらず4週間でアンモニア態窒素が減少し、硝酸態窒素が増加する。また、積み込み床の下を金網にした通気性装置を用いた切断残さの堆肥化は2週間に短縮される(図1図2)。

  2. 堆肥の腐熟度判定に用いるコマツナの発芽への影響は、積み方や切断の有無にかかわらず、積み込み8日目以降で発芽障害はない(表1)。

  3. 小ネギ残さで作った堆肥を200kg/a施用すると、施肥量を3割減肥しても、市販堆肥と化学肥料を併用し標準施肥を行った場合と同等の収量や葉色が得られる。糖度や香りも同等である(表2)。

  4. 小ネギ堆肥を用いて栽培した跡地土壌は、ECが0.05〜0.08で硝酸態窒素がほとんど残らない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 発酵の品温を確保するため堆積量をできるだけ多くし、低温期の積み込みは品温が確保しにくいので、高温期を経過させてから栽培に用いる。

  2. 圃場への病害虫の持ち込みを防ぐため、病害虫被害を受けてない残さを用いる。

  3. 県内で年間約1,000t排出される小ねぎ残さを有機物資源として再利用できる。

[具体的データ]

図1 積み方の違いがアンモニア態窒素量に及ぼす影響(2004年7月)


図2 積み方の違いが硝酸態窒素量に及ぼす影響(2004年7月)


表1 小ネギ堆肥を用いた場合のコマツナの発芽率(2004年7月)(%)


表2 堆肥の種類と施肥量が小ネギの収量、品質に及ぼす影響(2004年)

[その他]
研究課題名:小ネギ等軟弱野菜類の高品質安定生産技術と環境負荷軽減のための肥培管理技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2004年度


目次へ戻る