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トルコギキョウのおおいたオリジナルF1品種


[要約]
小輪多花性を特徴とする「大分6号」(桃覆輪)、「大分7号」(白)及び「大分8号」(紫覆輪)を育成した。この3品種は7月出荷作型と10月出荷作型(種子冷蔵育苗)で優良な切り花を生産できる。

[キーワード]
トルコギキョウ、F1品種、小輪多花性

[担当]
大分農林水産研花き・花き担当

[代表連絡先]電話0977-66-4706	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
大分県では、1994年にトルコギキョウの自生地であるアメリカ合衆国で、遺伝資源の確保を目的とした野生種の収集を行い、野生系統の特性(小輪多花性)を導入した優良固定系統を育成し、特に優れたものは品種として発表・普及した。
今回、有利販売につながるオリジナル性が高い、様々な作型に適応した栽培しやすい品種を育成するため、優良固定系統を親としてF1系統の育成を図った。その結果、小輪多花性を特徴とするF1品種3品種を育成し、夏期出荷作型(7月出荷)、秋期出荷作型(10月出荷)での栽培適応性を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 育成系統の親系統は以下の通りである。
    「大分6号」  19-3-9-1-2-1-1(白・♀)×PiB2-1-1(桃覆輪・♂)
    「大分7号」  19-3-9-1-2-1-1(白・♀)×W3-1-1(白・♂)
    「大分8号」  19-3-9-1-2-1-1(白・♀)×W9-1-1(白・♂)

  2. 7月出荷作型(4月上旬定植)では、対照の「つくしの雪」に比べて3品種とも小輪多花性(開花数、有効花蕾数を合わせて約20輪)を示し、切り花品質も優良である。また、平均採花日はやや遅くなる(表1)。

  3. 10月出荷作型(7月下旬定植)では、3品種とも種子冷蔵処理(摂氏10度、35日)の効果が高く、ブラスチングの影響で、夏期に収穫した場合と比較して開花数、有効花蕾数ともに減少する。また、「大分8号」は葉先枯れが50%発生する(表2)。

  4. 花径・花弁長は以下の通りである(カッコ内の数字が花弁長)。
    「大分6号」  32.3mm(35.0mm)
    「大分7号」  32.4mm(35.2mm)
    「大分8号」  32.8mm(36.0mm)
    「つくしの雪」 52.2mm(60.3mm)

[成果の活用面・留意点]
  1. 「大分8号」は、草姿が乱れやすく、葉先枯れが発生するため、肥料・水は控えめに管理する。

  2. 10月出荷作型を行う場合、気象条件やハウスの日照条件によっては、ブラスチングが発生し、切り花品質に影響を及ぼす。

[具体的データ]

表1 7月出荷作型における切り花品質


表2 10月出荷作型(種子冷蔵育苗)における切り花品質


図1 大分6号(桃覆輪・小輪)


図2 大分7号(白・小輪)


図3 大分8号(紫覆輪・小輪)


図4 つくしの雪(左・大輪)との比較

[その他]
研究課題名:トルコギキョウの育種
予算区分 :県単
研究期間 :1997年度〜


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