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成分調整型堆肥を利用した秋まきマルチニンジン栽培


[要約]
ペレット化した鶏ふん堆肥と牛ふん堆肥および尿素を組み合わせた成分調整型堆肥を利用した、秋まきマルチニンジンは、化学肥料単用と同等の収量が得られ、化学肥料を削減できる。なお、成分調整型堆肥の利用で肥料費が節約できる。

[キーワード]
ペレット、鶏ふん堆肥、牛ふん堆肥、成分調整型堆肥、ニンジン

[担当]
鹿児島農試・大隅支場・園芸研究室

[代表連絡先]電話0994-62-2001	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
畜産業のさかんな鹿児島県では、多量の家畜排泄物が産出され、その適正な処理と利用促進をはかることが重要かつ緊急の課題となっている。
そこで、ペレット化した家畜ふん堆肥および化学肥料を組み合わせた成分調整型堆肥を利用し、環境負荷の少ないニンジンの施肥技術確立を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 成分調整型堆肥では、施肥窒素基準量(2.00kg/a)の42.5%を鶏ふんおよび牛ふんのペレット堆肥から供給し、残りの57.5%を化学肥料(尿素)で補い、リン酸およびカリウムをこれらのペレット堆肥から供給する(表1)。

  2. 上品収量は、成分調整型堆肥が化学肥料を上回り、10アール当たり4トン以上が得られ、1本重も成分調整型堆肥が重い。また、障害根収量は、成分調整型堆肥と化学肥料のいずれも少なく有意差はみられない(図1)。

  3. 成分調整型堆肥と化学肥料での窒素吸収量の差は認められない(表2)。

  4. 現地の黒ボク土壌畑においても、成分調整型堆肥を用いると、化学肥料主体の農家慣行と同等以上の収量が得られる(表3)。

  5. 成分調整型堆肥の利用により、肥料費は化学肥料の70%未満になる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、暖地黒ボク土壌畑の秋まきマルチニンジン栽培に活用できる。

  2. 本試験では、ペレット堆肥を用いているが、成分施肥量を同じにすることでバラ堆肥にも活用できる。

  3. 家畜ふん堆肥の化学肥料に対する窒素肥効率は、鶏ふん堆肥60%、牛ふん堆肥40%と想定している。

[具体的データ]

表1 ペレット堆肥および化学肥料の成分施用量と肥料費


図1 収量(根重)と1本重


表2 窒素吸収量と窒素利用率


表3 現地実証試験の生育および収量

[その他]
研究課題名:持続性の高い農業生産施肥技術確立促進事業
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2004年度


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