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夏季の水耕栽培における培養液温制御とアイスプラントの生育


[要約]
葉茎菜類であるアイスプラントの夏季の水耕栽培において、培養液温を成り行き管理した場合、生育は旺盛となるが、早期に開花し商品としての生育量に至らない。培養液温を低く管理すると生育は抑制されるが、成り行き管理に戻すと生育が旺盛になり開花前に商品となる生育量を確保できる。

[キーワード]
葉茎菜、アイスプラント、水耕栽培、培養液温

[担当]
佐賀農業セ・三瀬分場・山間畑作研究担当

[代表連絡先]電話0952-56-2040	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
吸塩植物であるアイスプラントはNaClを吸収するため茎や葉は塩味を示し、その独特の食感とともに特徴ある食材として実需者から期待されている。水耕栽培での適応性を検討しているが、ここでは夏季の高温条件下での培養液温管理の違いによる生育反応について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 培養液を低温管理すると成り行き管理に比べ初期生育(葉数、分枝数、地上部重、株張り)が抑制される(表1)。

  2. 成り行き管理では初期生育が旺盛となり、商品として収穫できる生育量に至る前に開花する(表1図2)。

  3. 低温管理によって生育が抑制されたものは、成り行き管理に戻すことで生育が旺盛となり、開花前に商品として収穫できる生育量を確保できる(表2図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. アイスプラントは南アフリカ原産の多肉植物で吸塩植物である。

  2. 試験培養液の温度は成り行き管理では摂氏28〜35度程度、低温管理では摂氏23〜30度程度である(図1)。

  3. 水耕栽培でアイスプラントを導入する場合の参考となる。

  4. 商品として必要最小限の大きさになったと判断できた時点で収穫調査を行った。

  5. 水耕栽培の方式はNFT方式(葉菜用)で、50穴の発砲スチロールパネル(60cm×90cm)の25穴に千鳥定植(栽植密度46.3株/m2)し、培養液管理は大塚ハウス処方による(EC2.5程度)。

[具体的データ]

図1 培養液の成り行き管理区と低温-成り行き管理区における液温の推移(2005年)


表1 培養液の低温管理の有無とアイスプラントの生育の違い(2005年)


表2 培養液の低温管理終了後のアイスプラントの生育(2005年)


図2 培養液温の違いと生育(2005年9月20日)

[その他]
研究課題名:吸塩植物アイスプラントの佐賀県特産野菜化に関する研究
予算区分 :受託(高度化事業)
研究期間 :2004〜2005年度


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