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ニガウリの新品種「熊研BP1号」及び「熊研BP2号」


[要約]
本県オリジナルのニガウリ品種の育成を目的に、苦みが弱く、果実の突起がなだらかで、雌花着生が安定し、多収なF1品種「熊研BP1号」及び「熊研BP2号」を育成した。

[キーワード]
ニガウリ、F1新品種、雌花、多収

[担当]
熊本農研セ・農園研・野菜研究室

[代表連絡先]電話096-248-6446	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
近年、食に対する健康志向の影響から全国的にニガウリの需要が高まっている。県内においても主にスイカ、メロンからの転換品目、または組み合わせ品目として導入が進み、平成16年産の共販面積は60ha以上と急増している。
しかし、本県では従来から苦みが強く、果実の長い品種(系統)の栽培・流通が多い。一方、大都市の消費地で流通している品種は短形で苦みの弱い「ゴーヤータイプ」が主流であるため、消費地における本県ニガウリの評価は低い。
今後、本県ニガウリ生産における果実形質の統一と品質向上を図り、他県産地との競合に勝ち抜くために、消費者の求める優れた食味、果実品質を有する県オリジナル品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
多収で果実形質が優れるゴーヤータイプのニガウリF1品種「熊研BP1号」及び「熊研BP2号」を育成した。「熊研BP1号」の種子親はジーンバンク分譲の「LCJ980120」の選抜後代で、花粉親はジーンバンク分譲の「LCJ980084」の選抜後代である。「熊研BP2号」の種子親は「円福(大和農園)」の選抜後代で、花粉親は「熊研BP1号」と同じである。種子親はともに雌性型である。両品種の主な特性は以下のとおりである。
  1. 「熊研BP1号」

    1)果皮色は濃緑で、果実の形状は肩張りが良く、胴太りし、やや短形である(表1写真1)。

    2)こぶ状突起は、ゴーヤータイプの「えらぶ」に比較してやや低く、尖りはやや少ない(表1写真1)。

    3)苦みは「えらぶ」と同程度に弱い(表1)。

    4)3月末定植作型での商品果収量は、「えらぶ」に比較してやや多い(図1)。

    5)雌花節率は高く安定している(図2)。

  2. 「熊研BP2号」

    1)果皮色は濃緑で、果実の形状は肩がやや張り、やや長い(表1写真1)。

    2)こぶ状突起の形状は、「えらぶ」より明らかに低く丸い。そのため、突起の折れによる損傷は少ない(表1写真1)。

    3)苦みは、「えらぶ」に比較して非常に弱い。「熊研BP1号」に比較しても弱い(表1)。

    4)3月末定植作型での商品果収量は「えらぶ」と同程度である(図1)。

    5)雌花節率は高く安定している(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 雌花節率の高い品種であるため、低温短日期には雄花が極端に少なくなる。

  2. 適応作型は3月に定植する早熟栽培である。

[具体的データ]

表1 果実特性


図1 時期別商品果収量(H16)


図2 品種別雌花節率


写真1 収穫果実

[その他]
研究課題名:ニガウリの品種育成と作型開発
予算区分 :県単
研究期間 :2002〜2006年度


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