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トマトの雨よけ栽培におけるフルオープンハウスを利用した昇温抑制技術


[要約]
トマトの雨よけ栽培で、防虫ネットを設置したフルオープンハウスを使用すると、昇温が抑制され、収量は慣行と同等以上であり、尻腐果、裂果が減少し秀品率が向上する。

[キーワード]
トマト、雨よけ栽培、昇温抑制、フルオープンハウス、防虫ネット

[担当]
大分県農林水産研野茶・久住試験地

[代表連絡先]電話0974-76-0033	
[区分]九州沖縄農業・野菜花き	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
トマトの雨よけ栽培では、盛夏期にハウス内が高温となり、着果不良・花飛び・尻腐れ果・裂果の発生等により収量・品質が低下する。そこで、フルオープンハウスに防虫ネットを組み合わせた昇温抑制技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 1mm目合いの.防虫ネットを被覆したフルオープンハウス(標高890m)では、慣行の雨除けハウスに較べ、7〜9月の12時〜14時の時間帯に、地上から1.5m高の平均気温が摂氏1.5〜4度程度低下する(表1)。

  2. 防虫ネットを被覆したフルオープンハウス(2/7開度、標高540m)では、雨除けハウスに較べ、7〜9月の12時〜14時の時間帯の平均気温は、1mm目合いで摂氏2〜3.5度、0.4mm目合いで摂氏2〜2.5度程度低下する(表1)。また天井部の開度が2/7でも昇温抑制効果は劣らない。

  3. 1mm目合いの防虫ネットを被覆したフルオープンハウスでのトマト収量は、雨除けハウスよりも高い。1mm目合の防虫ネットを被覆したオープンハウス(2/7開度)での収量は、現地慣行の4mm目合いの防虫ネット被覆した雨除けハウスに較べ同等である(表2)。

  4. 1mm目合いの防虫ネットを被覆したフルオープンハウスでは、トマトの裂果、尻腐れ果、外品率が低下し、秀品率が向上する。(表3

  5. 0.4mm目合いの防虫ネットは4mm目合いの防虫ネットに較べ、ハモグリバエ、アザミウマ類、コナジラミ類の侵入抑制効果が高い。(表4

[成果の活用面・留意点]
  1. フルオープンハウスはトマトの雨除け栽培における昇温抑制対策として活用できる。但し台風時にハウスバンドの締め付けに労力を要すことや、強風でビニールがめくれやすいため、効率的なバンドの締め付け方法の検討が必要である。

  2. 防虫ネット1mmを被覆したフルオープンハウスは、マルハナバチ放飼や、タバコガ等の侵入防止、コナジラミ類等の侵入抑制を目的とした栽培で、昇温抑制対策として活用できる。

  3. トマト黄化葉巻病の発生地域等で、防虫ネット0.4mmを被覆した栽培で、昇温抑制のためにフルオープンハウスが活用できる。

[具体的データ]

表1 フルオープンハウス内気温


表2 トマトの規格品、月別収量


表3 フルオープンハウス栽培の、果実品質


表4 防虫ネットの目合の違いと害虫被害

[その他]
研究課題名:夏秋トマト栽培における昇温抑制や肥効調節等による生育制御技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2005年度


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