大莢で耐寒性が強い実エンドウの新品種「00-23」(仮称)
- [要約]
- 実エンドウ新品種「00-23」は、大莢で、従来の品種に比べて耐寒性が強く、準無霜地帯の春どり作型用品種として有望である。
- [キーワード]
- エンドウ、育種、耐寒性、大莢、準無霜地帯
- [担当]
- 鹿児島農試・園芸部
[代表連絡先]電話099-268-3231
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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本県の実エンドウは栽培面積が350haで、面積、生産量ともに全国一位であり、県の重要な園芸作物として位置づけられている。現在、主に栽培されている品種は「スーパーグリーン」と「ミナミグリーン」である。これらの品種は多収性ではあるが、耐寒性が弱いため、準無霜地帯では降霜や寒波による減収が大きく、生産が不安定である。そこで、従来の品種に比べて耐寒性が強い、多収性品種の育成を行う。
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[成果の内容・特徴]
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1996年に「サツマグリーン」を母親に、「ミナミグリーン」を父親として交配し、以降選抜を重ね、2005年に育成した固定品種である(表1)。
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耐寒性は「スーパーグリーン」に比べて強く、降霜時の落花・落蕾・莢の裂傷が少ない(表3)。
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準無霜地帯における収量は「スーパーグリーン」に比べて多い(表2)。
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ほとんどの節で1〜2莢着生し、着莢性が優れる(図1)。
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主枝長は「スーパーグリーン」に比べて長い(表4)。
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初花房節位は17節程度で、「スーパーグリーン」に比べてやや高い(表4)。
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莢の長さは「スーパーグリーン」および「ミナミグリーン」に比べて長い(表5)。
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莢および子実の重さは「スーパーグリーン」に比べて重い(表5)。
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子実の歩留まりは「スーパーグリーン」に比べて高い(表5)。
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[成果の活用面・留意点]
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準無霜地帯の秋まき春どり作型に適する。
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節間が長く草丈が高いので、支柱の高さをできるだけ高くする。その際には、季節風対策を十分に行う。
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初花房までの枝長が1m程度と長いので、下節位を横にねかせてから立ち上げる等して、誘引ネットが効率良く活用できるように誘引する。
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[具体的データ]
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表1 育成経過

表2 月別収量

表3 降霜後の莢の被害度別割合

表4 初花房節位と主枝長

図1 主枝の1節当たり着莢数

表5 莢と子実の品質

図2 収穫莢
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[その他]
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研究課題名:マメ類・イチゴの育種試験
予算区分 :県単
研究期間 :1996〜2004年度
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