ナスの葯培養における効率的な胚様体誘導法
- [要約]
- ナスの葯培養では、母本株を生育適正温度で養成し、胚様体誘導培地へ硝酸銀を添加、ならびに培地のショ糖濃度を高めることにより、胚様体形成率が向上する。
- [キーワード]
- ナス、葯培養、胚様体、温度、硝酸銀、ショ糖
- [担当]
- 熊本農研・農産園芸研究所・バイオ育種研究室
[代表連絡先]電話096-248-6444
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
- 本県では熊本長ナスのF1品種育成を進めており、このためには交配母本の主要形質を遺伝的に固定する必要がある。ナスでは葯培養により半数体を作出し、遺伝的に純系の個体を短期間に育成できるが、報告されている手法では胚様体由来である半数体の作出効率が低い。そこで、葯培養における胚様体形成率を向上させる方法を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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葯を採取する母本株を昼温摂氏25度、夜温摂氏15度程度の生育適温で養成することで、昼温摂氏35度、夜温摂氏25度の高温条件で養成した場合に比べ胚様体形成が促進される(表1)。このような温度管理により、周年的に効率的な半数体の作出ができる。
- 胚様体誘導培地に10mg/リットルlの硝酸銀を添加することにより黄色部を維持する葯の割合が高まり、胚様体形成率が向上する(図1)。
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胚様体誘導培地のショ糖濃度を7%に高めることにより、胚様体形成率が向上する(表2)。
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この手法で育成した個体は、いずれも半数体もしくは倍加半数体と考えられる(図2、表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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- 胚様体誘導培地は、MS基本培地にショ糖、0.1mg/リットル 2,4-D、0.1mg/リットル kinetinおよび0.1%活性炭を添加したものを使用する。
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試験で用いた母本株はワグネルポットで栽培した。
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遺伝子型の確認は、野菜茶業研究所機能解析部育種工学研究室で開発されたナスSSRマーカーを利用した。
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[具体的データ]
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表1 母本株の養成温度が胚様体形成率におよぼす影響
図1 胚様体誘導培地への硝酸銀添加効果
表2 胚様体誘導培地のショ糖濃度別胚様体形成率
表3 育成個体の遺伝子型
図2 ナスSSRマーカーを利用した育成個体の遺伝子型確認
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[その他]
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研究課題名:遺伝子マーカーによる有用形質の解析技術確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2005年度
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