クワシロカイガラムシ及び輪斑病に複合抵抗性の緑茶用新品種候補「宮崎23号」
- [要約]
- 「宮崎23号」は、クワシロカイガラムシ及び輪斑病に複合抵抗性を有する緑茶用新品種候補である。摘採期が「やぶきた」より3〜4日早い早生系統で、耐寒性が強く、製茶品質は「さやまかおり」より優れる。
- [キーワード]
- チャ、宮崎23号、品種、クワシロカイガラムシ、輪斑病、病虫害抵抗性
- [担当]
- 宮崎総農試・茶業支場・育種科
[代表連絡先]電話0983-27-0355
[区分]九州沖縄農業・茶業、野菜茶業・茶業
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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近年、チャの難防除害虫であるクワシロカイガラムシによる被害が全国で広がっており、その防除対策が大きな問題となっている。また、現在日本で栽培されている茶園面積の95%以上はクワシロカイガラムシに感受性の品種であるため、今後、被害面積の一層の拡大が懸念されており、抵抗性品種の育成が急務となっている。このため、クワシロカイガラムシに抵抗性で製茶品質も良く、耐寒性、耐病性に優れた暖地向け品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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「宮崎23号」は、クワシロカイガラムシ抵抗性品種「さやまかおり」を種子親、品質収量に優れ、炭疽病に抵抗性の「宮崎8号」を花粉親として1986年に交配されたF1実生群の中から選抜された系統である(図1、図2)。
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卵数を指標としたクワシロカイガラムシ抵抗性検定の結果、1雌あたりの卵数が「さやまかおり」より少なく、また圃場での発生もほとんど認められないことから、クワシロカイガラムシ抵抗性は強である(表1)。
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一番茶の萌芽期は「やぶきた」より5〜6日、摘採期は3〜4日早い早生系統である(表2)。
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耐病性は、輪斑病にはやや強、炭疽病にはやや弱である(表1、表2)。
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耐寒性は、赤枯れにはやや強、裂傷型凍害にはやや強〜強で「さやまかおり」並に優れる(表2)。
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生葉収量は、「やぶきた」よりやや多い(表2)。
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製茶品質は、「やぶきた」程度であり、「さやまかおり」より優れる(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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「宮崎23号」は早生系統であるため、晩霜被害の少ない南九州、四国南部、東海南部地域が適地であり、約200haの普及を予定している。
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クワシロカイガラムシ、輪斑病の薬剤防除は不要である。なお、炭疽病の発生は「さやまかおり」、「やぶきた」より少ないが防除が必要である。
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[具体的データ]
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図1 「宮崎23号」の育成系統図

図2 「宮崎23号」の一番茶新芽

表1 「宮崎23号」のクワシロカイガラムシ、輪斑病抵抗性(育成地)

表2 「宮崎23号」の栽培加工特性(育成地)
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[その他]
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研究課題名:茶樹新品種育成試験
予算区分 :指定試験
研究期間 :1986〜2005年度
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