釜炒り茶における葉温め機を利用した濡れ葉の付着水除去
- [要約]
- 釜炒り茶の炒り葉工程前に葉温め機を用いて濡れ葉を処理することで、付着水が除去され降雨や夜露等で茶芽が濡れた場合でも製茶が可能となる。荒茶品質も濡れ葉を脱水して製茶した場合と比較して同程度以上のものが得られる。
- [キーワード]
- チャ、釜炒り茶、葉温め機、濡れ葉、炒り葉、製茶、品質
- [担当]
- 宮崎総農試・茶業支場・加工科
[代表連絡先]電話0983-27-0355
[区分]九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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釜炒り茶の製造において降雨や夜露により表面に付着水が付いたままの茶葉(以下濡れ葉)を使用して炒り葉を行うと荒茶品質が低下するため、摘採日の繰り下げまたは濡れ葉を脱水した後に製造を行う等の対応がなされてきた。しかしいずれの場合も摘採遅れによる荒茶品質の低下や脱水機の導入が必要となるなど、濡れ葉に対する製造方法の改善が求められている。茶業支場で炒り葉機の処理能力向上を目的として開発した葉温め機(2003年九州沖縄農業研究成果情報参照)は炒り葉の前に生葉を加熱処理するため、これを濡れ葉処理に応用することで付着水を効率良く除去でき良好な炒り葉が可能となると考えられる。そこで釜炒り茶製造における濡れ葉対策として葉温め機の効果を検証する。
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[成果の内容・特徴]
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濡れ葉を葉温め処理することで脱水処理と同程度にまで濡れ葉から水分を除去することができる(図1)。
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濡れ葉を葉温め処理して炒り葉機に投入することで炒り葉機第1円筒出口では茶葉の含水率が約250%(DB)となり、無処理または脱水処理した場合と比較して良好な炒り葉が行える(図1)。
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荒茶品質については、濡れ葉を葉温め処理して製造を行うことで、無処理または脱水処理した場合と比較して色沢等が良好となる(表1)。
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濡れ葉を葉温め処理した場合、無処理及び脱水処理した場合と比較してクロロフィルからフェオフィチンへの変化率が低くなる(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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釜炒り茶の製造における濡れ葉対策として活用できる。
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本試験で用いた濡れ葉は摘採までに十数時間に渡り50mm以上の降水を受けた茶葉を降雨中に摘採したものである。
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本成果は葉温め機の設定条件を処理量72kg/hr、釜温度摂氏300度とし、炒り葉機は120K型を用いて得られたものである。
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[具体的データ]
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図1 茶葉の含水率の推移

表1 一、二番茶における荒茶品質

表2 クロロフィルからフェオフィチンへの変化率
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[その他]
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研究課題名:みやざき茶地域対応型加工技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2005年度
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