アスパラガスの半促成長期どり栽培における近紫外線除去フィルムの斑点病に対する防除効果
- [要約]
- アスパラガスの半促成長期どり栽培において、近紫外線除去フィルム被覆は斑点病分生子の形成を抑え発病進展を抑制する。
- [キーワード]
- 近紫外線除去フィルム、アスパラガス、斑点病、半促成長期どり
- [担当]
- 佐賀農業セ・土壌環境部・病害虫農薬研究担当
[代表連絡先]電話0952-45-2141
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
- 近紫外線除去(UVA)フィルム被覆は果菜類灰色かび病をはじめとする各種病害虫に対する防除効果が報告されており、アスパラガス斑点病に対しても東北地域で効果が認められている(Sasakietal.1985)。しかし、より紫外線量の多い九州地域で行われている半促成長期どり栽培(雨よけ、長期収穫)における効果は不明であるため、本作型における防除効果について検討する。
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[成果の内容・特徴]
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- UVAフィルム(商品名:クリーンテートGM、除去波長域:390nm以下)被覆は、斑点病の発生を農ポリ被覆の23.1〜55.2%に抑制し、被覆2年目でも効果が持続する(表1)。
- UVAフィルム被覆の斑点病に対する発病進展抑制は、分生子の形成抑制(対農ビ被覆比:6.6〜19.9%)による(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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- UVA農ポリフィルム(商品名:クリーンテートGM)被覆圃場における紫外線量(UV-A,B)は、一般農ポリ被覆圃場の30%以下(6/23〜7/22及び10/8〜10/15積算紫外線量UVA:476,290mJ/cm2、一般農ポリ:2,053,191mJ/cm2)に減少する(図1)。
- 390nm以下の紫外線を除去できるフィルムであれば同様の効果が期待できる。
- UVAフィルム被覆のみでは斑点病を完全に防除できないので、他の防除法(被害茎葉の処分、初発生時からの薬剤防除等)を併用する。
- 本技術は半促成長期どり栽培に適用できる。
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[具体的データ]

表1 近紫外線除去フィルム被覆下におけるアスパラガス斑点病の発病推移a)

表2 近紫外線除去フィルム被覆によるアスパラガス斑点病の分生子形成抑制

図1 各フィルム被覆圃場内の紫外線量(2004)
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[その他]
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研究課題名:アスパラガス等地域特産農産物の病害虫防除技術の確立
予算区分 :国庫
研究期間 :2004〜2007年度
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