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ハウスミカンに発生した合成ピレスロイド系薬剤抵抗性ネギアザミウマ


[要約]
佐賀県で発生したハウスミカンを加害するネギアザミウマは、広範な植物に寄生する従来の個体群とは形態的に差異がある。この個体群は、従来の個体群に対し感受性が高いビフェントリン水和剤、トラロメトリンフロアブルに対し感受性が著しく低い。

[キーワード]
ハウスミカン、ネギアザミウマ、感受性、合成ピレスロイド系薬剤

[担当]
佐賀上場営農セ・研究部・畜産果樹研究担当

[代表連絡先]電話0955-82-1930	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
近年、ハウスミカンにおいてネギアザミウマによる果実被害が発生し、経済的に甚大な損害が与えられている。現地圃場では、収穫直前のアザミウマの防除に主に合成ピレスロイド剤が使用されているが、本系統薬剤が散布されたにも関わらず、平成16年に本虫による被害が多く発生したハウスミカン園が認められた。この園から採集したネギアザミウマは、従来の個体群とは形態的に差異が認められた。そこで、ハウスミカンを加害する個体群の薬剤感受性を検討し、本虫防除の資とする。

[成果の内容・特徴]
  1. ハウスミカンから採集された個体群は、従来の個体群に比べ体長に差はないが、胸幅が有意に狭い(図1図2図3)。
  2. ハウスミカンから採集された個体群に対するビフェントリン水和剤、トラロメトリンフロアブルの補正死虫率(以下、死虫率と示す)は7〜12%と感受性が著しく低い(表1)。

  3. 同個体群に対するクロルピリホス水和剤の死虫率は73%とやや低いものの、アセフェート水和剤、スピノサドフロアブル、トルフェンピラドフロアブルの死虫率は90%以上と感受性が高い(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 合成ピレスロイド系薬剤を散布し、ネギアザミウマの寄生密度が低下しない場合には、他の系統の薬剤を散布する。

  2. 合成ピレスロイド系薬剤抵抗性ネギアザミウマを現場で外観から識別することは困難であるので、試験研究機関に同定を依頼する。

  3. 従来の個体群として、ワケギから採集した個体群を供試した。

[具体的データ]

図1 摂氏23度条件下で飼育したネギアザミウマの全身写真


図2 2個体群の体長の比較


図3 2個体群の胸幅の比較


表1 ネギアザミウマの各種薬剤に対する感受性

[その他]
研究課題名:上場地域におけるネギアザミウマと同種が媒介するIYSVの生態解明による防除技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2007年度


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